スカルド詩の技法

スカルド詩は「mál ことば」と「hættir 韻律」から構成される。

mál ことば

  • mál[3][9] ことば[2][3]、事柄[3]、契約[3] [中][3] 
  • 詩中では特に「skáldskaparmáls[9] 詩語[2]」とも呼ぶ
  • 詩語はさらにいくつかの種類に分けられる
    • heiti[3] 固有名詞(名称[3]) [中][3]
    • fornöfn[9] 代称[2](代名[2]) (nöfn[3] nafn(名)の複数形[3]
    • kenning[3][9] ケニング[2][3]、詩的代称[3] [女][3]
      ……viðkenningar[9] 附随ケニング。あるものを呼ぶとき、その名前そのものと一緒になにか別のもので呼んだり、あるいはそのものの父や祖父などを呼ぶという手法[2] (við[3] ~のかたわらに[3] 英語のwithと同等[3] [前][3]
      ……sannkenningar[9] 真のケニング。人を賢者、執事、雄弁家、諫言者などと呼ぶ言い方[2] (sannr[3] 本当の)

hættir 韻律

ケニング(代称法)とは、規定語と基語の二つの語によって一つの語を詩的に言いかえる代称である[10]
一度使われたケニングは二度とつかってはならないというきまりがあったため、詩人は規定語と基語をさまざまなバリエーションで変化させ、組み合わせて、さまざまなことばをいいかえていた[10]

ケニング一覧

強調の技法

通常は『船の樹(=男)』、『傷の火(=剣)』のように一つのケニングで一つの語を表すが、規定語をケニングでいいかえることにより、『戦の棒の樹(戦の棒=剣、剣の樹=男)』のように二つのケニングで一つの語を表す技法は、得に”強いる[2]”と呼ばれる。
さらに二重のケニングの規定語をケニングでいいかえることにより、三重、四重のケニングとすることもできる[10]

スカルド詩以外に見られるケニング

  • 古英詩の「べーオーウルフ」……ケニングが散見されるがスカルド詩に比べて数は非常に少なく、また二重三重の用法は見られない[10]
  • 古ドイツ語の「ヒルデブラントの歌」、古サクソン語の「ヘーリアント」……ケニングはほとんどわずかしかない[10]
  • エッギャの石板……700年頃にノルウェーでしるされたルーン文字の碑文。「死体の海=血」という表現がみられる[10]
  • エッダ……スカルド詩ほどではないにせよ、多くのケニング用法が見られる。神話詩にすくなく、英雄詩に多く見られる[10]

ケニングの起源

  • 宗教的または迷信的観念から、普通の語で呼ぶことがタブーとされている概念を別の語によりいいかえることから発展した……ポルテンゲンの説[10]
  • もともと宗教的・祭儀的な秘密言語とケニングには強い関係性があったが、祭儀的観念にとらわれない自由な詩人の手にかかってはじめて詩語としてのケニングが出来上がった……クラウゼの説[10]
  • ルールの厳しい韻律のもとで、比喩表現が短縮されてケニングができあがった……ローセンボアの説[10]
  • 韻律による厳しい縛りがあることによって、かえってバリエーション豊かで簡潔なケニングが生まれた……ヨウンソン、ハインツェルらの説[10]

あえて意味があいまいな言葉を用いる詩の技法。
同意語を共有している様々な名も同じようにあいまいな用い方ができる。

Læti 声

  1. rödd[9] 音声[2]
  2. æði[9] 気質[2](ólund[9] 不機嫌[2]

レイジ

  1. reiði[9] 怒り[2]
  2. reiði[9] 船や馬の装備[2]

ファールとファル

  1. fár[9] 怒り[2]
  2. far[9] 船[2]

リズ

  1. lið[9] 関節[2]
  2. lið[9] 船[2]
  3. lið[9] 民衆[2]
  4. lið[9] 人が他の者に援助をすること[2]
  5. líð[9] ビール[2]

フリズとフリーズ

  1. hlið[9] 垣[2]
  2. hlið[9] 牡牛[2]
  3. hlíð[9] 坂[2]