※当記事には『新釈北欧神話』におけるネタバレが反転して記載されています
原典版
登場する文献と役割
ヒュンドラの歌
- かつて、もっとも力の強い男であった[1]
ギュルヴィたぶらかし
詩語法
- ノルウェーを支配していた王の名[2]
- ウプサラを支配していたアジルス王との間に不和を生じ、ヴェーニルという湖の氷の上で合戦したが破れ、死亡した。持ち物であった兜ヒルディスヴィーンと馬フラヴンはアジルス王のものとなった[2]
ユングリンガサガ
- Áli hinn frœkni[22](勇敢なアーリ[18])。フリズレイヴの子。当時スウェーデンを治めていたアウン王との間に数回にわたって戦闘を交え、勝利してウプサラで二十年間王位についた後、老スタルカズに殺害された[18] (hinn [代] あの)[3](fröm[12] 勇敢な、促進する[6])
- <ウップランドのアーリ王>。アジルス王と大きな戦をし、ヴェーネルン湖の氷上で戦ったが、敗北して討たれた。自身が持っていた名馬スレングヴィルはアジルス王のものとなった[18]
ケニング
アーリの名に関連するケニング
- föður Ála[9] アーリの父 (fǫður faðir(父)の属格)[3]
― [2]では「ヴァーナルガンドすなわちフェンリル狼とヨルムンガンド、すなわちミズガルズ大蛇とヘルとナリの父」「アーリの身内で父の兄弟」との記載であるが、原文「föður Vánargands, þat er Fenrisúlfr, ok Jörmundgands, þat er Miðgarðsormr, ok Heljar ok Nara ok Ála, frænda ok föður-bróður」[12]のカンマの位置や内容から考えると「ヴァーナルガンドすなわちフェンリル狼とヨルムンガンド、すなわちミズガルズ大蛇とヘルとナリとアーリの父」「身内または父の兄弟」とするほうがより妥当であると判断
ロキを表すケニング
アジルスを表すケニング
巨人を表すケニング
ヴァーリとアーリとナリとナルヴィの混乱
内容を読む ※コミカライズ作品『新釈北欧神話』における著しいネタバレを含みます
オーディンの息子でありバルドルの復讐を遂げる神ヴァーリは、しばしばロキの息子の名としても現れ、我々に混乱を与えている。
これは長年の文字起こしや写本の転記により生じた誤訳・ミスであると考えられるが、以下に、それぞれの詩においてそれぞれの名前がどのように言及されているのかを表でまとめる。
ヴァーリ | アーリ | ナリ | ナルヴィ | |
---|---|---|---|---|
巫女の予言 | ロキの息子。腸のほう | ー | ー | ー |
ヴァフズルーズニルの歌 | オーディンの息子 | ー | ー | ー |
ロキの口論 | ー | ー | ロキの息子。腸のほう | ロキの息子。狼のほう |
ギュルヴィたぶらかし | オーディンの息子。別名アーリ ロキの息子。狼のほう |
オーディンの息子。別名ヴァーリ | ロキの息子。腸のほう。別名ナルヴィ | ロキの息子。腸のほう。別名ナリ |
詩語法 | オーディンの息子 | ロキの息子 | ロキの息子 | ー |