Freyja[1][9][16][22]、Freyia[13](フレイヤ[1][2][7][10][16][18][25][26][32]、フレイア[27])
原典版
概要
- フレイの妹。繁栄と愛の女神[32]
- ニョルズの娘で、男女の愛情を司る女神。また、首飾りを手に入れるために男に身を任せ、兄弟フレイをはじめとする神々や妖精とも関係した浮気女とされる。一方で戦神の性格をも有し、毎日戦死者の半分をえらぶとされている[16]
- 女神フレイヤが旅に出た夫を慕って泣いた涙は黄金になった[10]
- ヘイムスクリングラⅠによれば、魔法を初めてアース神に教えたのはフレイヤとされているため、グルヴェイグをフレイヤと同一視する見方がある[1]
- 結婚やお産の時にフリッグと並んでその助けが求められる[27]
巫女の予言
グリームニルの歌
ロキの口論
スリュムの歌
オッドルーンの歎き
ヒュンドラの歌
- オーディンの加護を受けさせるために、若い勇士オッタルを連れてヴァルハラへ向かおうとする。オッタルの優れた出自を証明するため、ヒュンドラにその系図を語らせる[1]
- 猪に乗る[1]
― 訳注:この猪はフレイヤの恋人オッタルが変身した姿と考えられる[1] - 6節と7節におけるヒュンドラとフレイヤの会話内容から、ヒルディスヴィーニがフレイヤの恋人オッタルと関係がある(オッタルの変身した姿?)と解釈することもできる
6節:フレイヤに対するヒュンドラのセリフ
(略)
þú hefir ver þinn í valsinni,
Óttar iunga, Innsteins bur.
=あなたの夫であるインステインの息子の若いオッタルが、殺される途中(=ヴァルハラに向かい旅をしている)に、貴方は一緒にいた。
7節:それを受けたフレイヤのセリフ
(略)
þú qveðr ver minn í valsinni,
þar er gǫltr glóar, gullinbursti,
Hildisvíni, (略)
=あなたは、黄金の剛毛をもつ猪ヒルディスヴィーニが輝いたことを、私の夫が殺される途中(=ヴァルハラに向かい旅をしている)、などと言う。 - ヒュンドラに、いつも欲情を燃やしてオーズを追いかけた、と侮辱された[1]
ギュルヴィたぶらかし
- フリッグにならぶ最もすぐれた女神。ヴァナディース(Vanadís[12])とも呼ばれている。オーズという男の妻になり、フノスという娘をもうけた。ところがオーズは長い旅路に出たため、フレイヤは彼を探して諸国を旅した。その時にマルデル(Mardöll[12])、ヘルン(Hörn[12])、ゲヴン(Gefn[12])、スュール(Sýr[12])などといった様々な名を名乗った。黄金の涙を流すといわれている。ブリージンガメンという首飾りをもつ[1]
- ニョルズの娘。フレイの姉妹。アース女神の中で最も有名で、眉目麗しく、力が強い。天にあるフォールクヴァングという場所に住み、戦死者の半分をオーディンと分け合う。セッスルームニルという、広々として美しい広間をもつ。出かける時は二匹の猫を連れて車に乗る。恋歌をとても愛好するため、恋愛問題で祈願される。貴婦人をフローヴァ(fróvur[12])と呼ぶ尊称は、フレイヤの名から由来している[1]
- ある日一人の鍛冶屋がアース神のもとにやってきて、立派な砦を造る代わりにフレイヤと太陽と月を報酬に欲しいと申し出た。一度は取り決めが固められたものの、鍛冶屋の正体が山の巨人であること悟った神々が誓いを破ったため、フレイヤが報酬に支払われることはなかった[1]
- バルドルの火葬に参加する際には、猫に車をひかせてやってきた[1]
詩語法
- アースの女神として、エーギルをもてなす酒宴の席に参加する。また、その後にエーギルが開催した酒宴の席にも参加する[2]
- 巨人シャチに囚われたイズンを助けに行くロキに、鷹の衣を貸す[2]
- 巨人フルングニルがアースガルズを訪れた際、そこで行われた酒宴の席にて彼に酌を行う場面で登場[2]
- フノスの母でオーズの妻[2]
- 管理人注:[2]ではイーヴァルディの子らとシンドリ・ブロッグ兄弟の宝の裁きの場に登場するのはオーディン・トール・一部でフレイヤの記載があるが、原文ではFreyr[9]であり、文脈的にもフレイが正しい
ユングリンガサガ
- ニョルズとその妹との間に生まれた娘。フレイの妹で、供犠の女司祭。ヴァン国にいたころ、人々に魔法を教えており、アース国でも同様に人々に魔法を教えた。かなり移り気な性格といわれている[18]
- オーズという夫をもち、間にフノスとゲルシミという大変美しい娘をもうけた[18]
- フレイが病床に伏したあと、供犠を執り行った。神々の中で独り生き残ったため、たいそう有名になり、その名は貴婦人や女性を表す言葉となった。自分の財産をもつ女はすべてfreyja[22](フレイヤ[18])と呼ばれ、家をもつ女はhúsfreyja[22](フースフレイヤ[18])と呼ばれた。また、貴婦人を表すfrúvor[22](フルーヴュル[18])という名もフレイヤの名にちなんでつけられた[18] (hús 家 [中] 英語houseに相当)[3]
ソルリの話とヘジンとホグニのサガ
- ástaguð[9] 愛情の女神[2] (ást 愛)[3](guð 神(キリスト教の) [男])[3] [9]-28.
- dóttur Njarðar[9] ニョルズの娘[2] (dóttir[9] 娘[2]) [9]-28.
- eigandi valfalls[9] 戦死者の所有者[2] (eiga 所有 [女])[3](eignask 所有する)[3] [9]-28.
- eigandi Sessrúmnis[9] セッスルームニルの所有者[2] [9]-28.
- eigandi fressa[9] 猫の所有者[2] [9]-28.
- eigandi Brisíngamens[9] ブリーシンガメンの所有者[2] [9]-28.
- grátfagra goð[9] 涙の美しい神[2] (gráta 泣く)[3](fagr 美しい [形] 古英fairに相当)[3] [9]-28.
- systur Freys[9] フレイの妹[2] (systir 姉妹)[3] [9]-28.
- Vanabrúðr[9] ヴァンの花嫁[2] (Vanr ヴァンル神)[1](brúðr 花嫁 [女] 英語brideに相当)[3] [9]-44.(110)
- Vanadís[9] ヴァンのディース[2] (dís[9] 女予言者[2]) [9]-28.
- Vanagoð[9] ヴァン女神[2] [9]-28.
- konu Óðs[9] オーズの妻[2] (kona 女 [女] 英語queenに相当)[3] [9]-28.
- オーズの床の友[2] [9]-44.(107)
- móður Hnossar[9] フノスの母[2] (móðir 母 [女] 英語motherに相当)[3] [9]-28.
フレイヤの名に関連するケニング
- ニョルズの娘(フレイヤ)の子[2] [9]-44.(109)
- ホルンの黄金にて飾られたるめぐし子[2] [9]-44.(108)
- ゲヴンの娘[2] [9]-44.(110)
- ヴァンの花嫁(フレイヤ)のしたたかなる娘[2] [9]-44.(110)
- grátr Freyju[9] フレイヤの涙[2] (gráta 泣く)[3]
- Freyju tǭr[10] フレイヤの涙[10][26]
- マルドルの涙[2]、マルデルの涙[26]
- regn augna Freyju[12] フレイヤの眼の雨(涙)[2] (auga 目 [中] 英語eyeに相当)[3]
- skúr augna Freyju[12] フレイヤの眼の夕立(涙)[2] (skúr 雨、夕立 [女] 英語showerに相当)[3]
- skúrir augna Freyju[12] フレイヤの眼の夕立(涙)[2]
- hagl augna Freyju[12] フレイヤの眼の雹(涙)[2]
- él augna Freyju[12] フレイヤの眼のにわか雨(涙)[2]
- dropar augna Freyju[12] フレイヤの眼の滴(涙)[2] (drjúpa 滴る 英語drip、dropに相当)[3]
- forsar augna Freyju[12] フレイヤの眼の滝(涙)[2] (fors(滝)の複数形)[3]
- forsar kinna Freyju[12] フレイヤの頬の滝(涙)[2]
- forsar brá Freyju[12] フレイヤのまゆげの滝(涙)[2]
- forsar hvarma Freyju[12] フレイヤのまぶたの滝(涙)[2]
- マルドルの瞼の美しき雨[7]
- 海の歯(岩礁)のシュル[2]
フレイを表すケニング
ニヨルドを表すケニング
ヘイムダルを表すケニング
フノスを表すケニング
女を表すケニング
黄金を表すケニング
……フレイヤが旅に出た夫を慕って泣いた涙が黄金になったことに由来[10]
女巨人を表すケニング
参考文献
新釈北欧神話版
第一章
ニヨルドの娘で、フレイの双子の妹。
雄を惑わす甘い体臭を放つ、受難体質の少女。
いつか夢で見た”運命の人”を探し続けている。