フレイヤ

※当記事には『新釈北欧神話』におけるネタバレが反転して記載されています


Freyja[1][9][16][22]、Freyia[13](フレイヤ[1][2][7][10][16][18]

原典版

概要

  • ニョルズの娘で、男女の愛情を司る女神。また、首飾りを手に入れるために男に身を任せ、兄弟フレイをはじめとする神々や妖精とも関係した浮気女とされる。一方で戦神の性格をも有し、毎日戦死者の半分をえらぶとされている[16]
  • 女神フレイヤが旅に出た夫を慕って泣いた涙は黄金になった[10]
  • ヘイムスクリングラⅠによれば、魔法を初めてアース神に教えたのはフレイヤとされているため、グルヴェイグをフレイヤと同一視する見方がある[1]

巫女の予言

  • オーズの妻」という表現で登場。巨人の輩に引き渡されそうになる[1]

グリームニルの歌

ロキの口論

スリュムの歌

オッドルーンの歎き

ヒュンドラの歌

ギュルヴィたぶらかし

  • フリッグにならぶ最もすぐれた女神。ヴァナディース(Vanadís[12])とも呼ばれている。オーズという男の妻になり、フノスという娘をもうけた。ところがオーズは長い旅路に出たため、フレイヤは彼を探して諸国を旅した。その時にマルデル(Mardöll[12])、ヘルン(Hörn[12])、ゲヴン(Gefn[12])、スュール(Sýr[12])などといった様々な名を名乗った。黄金の涙を流すといわれている。ブリージンガメンという首飾りをもつ[1]
  • ニョルズの娘。フレイの姉妹。アース女神の中で最も有名で、眉目麗しく、力が強い。天にあるフォールクヴァングという場所に住み、戦死者の半分をオーディンと分け合う。セッスルームニルという、広々として美しい広間をもつ。出かける時は二匹の猫を連れて車に乗る。恋歌をとても愛好するため、恋愛問題で祈願される。貴婦人をフローヴァ(fróvur[12])と呼ぶ尊称は、フレイヤの名から由来している[1]
  • ある日一人の鍛冶屋がアース神のもとにやってきて、立派な砦を造る代わりにフレイヤと太陽と月を報酬に欲しいと申し出た。一度は取り決めが固められたものの、鍛冶屋の正体が山の巨人であること悟った神々が誓いを破ったため、フレイヤが報酬に支払われることはなかった[1]
  • バルドルの火葬に参加する際には、猫に車をひかせてやってきた[1]

詩語法

ユングリンガサガ

  • ニョルズとその妹との間に生まれた娘。フレイの妹で、供犠の女司祭。ヴァン国にいたころ、人々に魔法を教えており、アース国でも同様に人々に魔法を教えた。かなり移り気な性格といわれている[18]
  • オーズという夫をもち、間にフノスゲルシミという大変美しい娘をもうけた[18]
  • フレイが病床に伏したあと、供犠を執り行った。神々の中で独り生き残ったため、たいそう有名になり、その名は貴婦人や女性を表す言葉となった。自分の財産をもつ女はすべてfreyja[22](フレイヤ[18])と呼ばれ、家をもつ女はhúsfreyja[22](フースフレイヤ[18])と呼ばれた。また、貴婦人を表すfrúvor[22](フルーヴュル[18])という名もフレイヤの名にちなんでつけられた[18] (hús 家 [中] 英語のhouseに相当)[3]

ソルリの話とヘジンとホグニのサガ

  • ニョルズの娘。オージンの愛人で、彼といっしょに暮らしていた。その時代にあって一番美しい女だったという。非常に頑丈な造りをしたひとつの女人館スケンマを有していた。 ある日たまたま侏儒たちの石のところにやってきたとき、彼らがこしらえていた黄金の首飾りをたいそう気に入り、それを譲り受ける代わりに彼ら四人とそれぞれ一夜を共にした。そのことを知ったオージンに命じられたロキにより首飾りを盗み出され、オージンに返却を願い出たところ、「勇敢なキリスト教徒のものが武器を持ってそれを止めるまで、二人の王が闘って倒れてもまた立ち上がって戦闘するように呪いと魔力をかけろ」という条件を飲むこととなった[16]

フレイヤの名に関連するケニング

    フレイを表すケニング
    • bróður Freyju[9] フレイヤの兄[2] (bróður bróðir(兄弟)の属・与・対格)[3]
    ニヨルドを表すケニング
    • föður Freyju[9] フレイヤの父[2] (fǫður faðir(父)の属格形)[3]
    ヘイムダルを表すケニング
    • mensækir Freyju[9] フレイヤの首輪の探し手[2]
    フノスを表すケニング
    • ニョルズの娘(フレイヤ)の子[2] [9]-44.(109)
    • ホルンの黄金にて飾られたるめぐし子[2] [9]-44.(108)
    • ゲヴンの娘[2] [9]-44.(110)
    • ヴァンの花嫁(フレイヤ)のしたたかなる娘[2] [9]-44.(110)
    女を表すケニング
    • lín-Gefn[10] リンネルのゲブン[10]
    黄金を表すケニング

    ……フレイヤが旅に出た夫を慕って泣いた涙が黄金になったことに由来[10]

    • grátr Freyju[9] フレイヤの涙[2] (gráta 泣く)[3]
    • Freyju tǭr[10] フレイヤの涙[10]
    • マルドルの涙[2]
    • regn augna Freyju[12] フレイヤの眼の雨(涙)[2] (auga 目 [中] 英語のeyeに相当)[3]
    • skúr augna Freyju[12] フレイヤの眼の夕立(涙)[2] (skúr 雨、夕立 [女] 英語のshowerに相当)[3]
    • skúrir augna Freyju[12] フレイヤの眼の夕立(涙)[2]
    • hagl augna Freyju[12] フレイヤの眼の雹(涙)[2]
    • él augna Freyju[12] フレイヤの眼のにわか雨(涙)[2]
    • dropar augna Freyju[12] フレイヤの眼の滴(涙)[2] (drjúpa 滴る 英語のdrip、dropに相当)[3]
    • forsar augna Freyju[12] フレイヤの眼の滝(涙)[2] (fors(滝)の複数形)[3]
    • forsar kinna Freyju[12] フレイヤの頬の滝(涙)[2]
    • forsar brá Freyju[12] フレイヤのまゆげの滝(涙)[2]
    • forsar hvarma Freyju[12] フレイヤのまぶたの滝(涙)[2]
    • マルドルの瞼の美しき雨[7]
    女巨人を表すケニング
    • 海の歯(岩礁)のシュル[2]

参考文献


新釈北欧神話版

第一章

ニヨルドの娘で、フレイの双子の妹。
雄を惑わす甘い体臭を放つ、受難体質の少女。
いつか夢で見た”運命の人”を探し続けている。

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