Guðrún[9][13](グズルーン[1][2])
― guð[3] 神(キリスト教の)[3] [男][3]
― rúnar[3] 知恵、秘密、ルーン文字[3]
原典版
概要
- 有名なフン族の王アッチラに嫁いだゲルマン人の娘イルディコがモデルになっている。二人の婚礼の夜、アッチラは血を吐いて死んだが、そののち、妻イルディコが夫の復讐を遂げたという話が創作された。その話の中でイルディコはギューキ一族グンダハリ(グンナルのモデルとなった人物)の妹グズルーンにされ、兄の復讐のためアトリ(アッチラ)を殺したことになっているが、実際には両者の間には歴史上の関わりは無い[1]
グリーピルの予言
シグルズの歌 断片
- ギューキの娘。ブリュンヒルドは彼女に自分よりしあわせな結婚をさせたくなかったため、不幸を引き起こそうとしてグンナルらを煽動しシグルズを殺害させる。グズルーンはシグルズの死に対して泣かなかったが、身は悲しみに張り裂けそうだったという。その後ファーヴニルの心臓を食べ、鳥の声が理解できるようになった[1]
グズルーンの歌Ⅰ
- ギューキの娘。グルレンドの姉。かつてシグルズが生きていたころは、ヘリアン(オーディンの別名)のどの女(ヴァルキューレ)よりもすぐれた者と英雄たちから思われていたという。シグルズの死に対して、泣くこともできず身が張り裂けそうなほどの悲しみにくれた。そしてシグルズを欺いた兄グンナルに、黄金の腕輪が命取りになるだろうと言い、そこを去って荒野の森に行った。それからダンメルクに赴き、三年半の間、ハーコンの娘ソーラのところに滞在した。[1]
シグルズの短い歌
- ギューキの娘。シグルズの妻。シグルズとの間には幼い息子がいた。シグルズ亡き後はアトリ王のところに行き、シグルズとの間にできた娘スヴァンヒルドを生む。その後アトリと望まぬ結婚をするが、アトリを刺し殺し、海に身を投げてヨーナクの国に流れ着き、ヨーナクの息子たちを生む[1]
ブリュンヒルドの冥府への旅
ニヴルング族の殺戮
- シグルズとの間にスヴァンヒルドという娘がいた。不和が生じたギューキ一族とアトリとの折り合いのためアトリに嫁ぐことになったが、結婚に同意する前に(ギューキ一族に)忘れ薬を飲まされてしまった。その後アトリ王の奸計を知り、彼に招待されたグンナルとヘグニにそのことをルーネで知らせ、その印にヘグニの指輪アンドヴァラナウトを送り、それに狼の毛を結んだ。ギューキ一族がアトリのところにきたとき、グズルーンは彼らの命乞いをしたが、聞き入れられず、グンナルとヘグニは殺害された。そのころアトリのもとに滞在していたスィオーズレク王と、互いに悲しい出来事を歎き、彼に次の詩で謡われている「グズルーンの歌Ⅱ」の内容を語って聞かせた[1]
グズルーンの歌Ⅱ
- ギューキの娘。ギューキから黄金を贈られ、シグルズに嫁いだ。ところがグズルーンの兄弟たちは、彼女が誰よりも優れた夫をもったことが許せず、シグルズを殺害した。そのことをヘグニとグンナルから聞いたグズルーンは、彼の死体を集めに森へ行き、そのあと山を降りて五日の間歩き、ハールヴの館を訪れた。そして三年半の間、デンマークのハーコンの娘ソーラのところに滞在し、二人で、南の国の館やデンマークの白鳥、フン族の英雄たち、シグムンドの船、シガルとシゲイルが南のフィオーンで戦ったさまなどを金糸で刺繍した。その後ゴートの妃グリーミルドに、記憶を消すための多くの毒が混ぜられた麦酒を用意され、アトリの妻となってブズリの財産を手に入れるようにと説得されたが、拒絶した。グリーミルドの熱心な説得の結果アトリのもとに嫁ぐことになったものの、敵意のあまり、死んだ身内(管理人注:シグルズのことか)を思い出した。そしてアトリから、グズルーンがアトリを剣で刺しとおす夢をみたと告げられた。その後アトリの侍女のヘルキャが、グズルーンがスィオーズレク王と一緒にいるのを見たとアトリに告げたため、潔白を証明するため、次の「グズルーンの歌Ⅲ」で歌われていることを言った[1]
グズルーンの歌Ⅲ
- ギューキの娘。兄弟のグンナルとヘグニ、家臣、近親のすべてを失った。沈んでいるアトリに理由を聞くと、ヘルキャが、グズルーンとスィオーズレクが寝た、とアトリに告げ口したのだという。グズルーンは、スィオーズレクと語らいはしたが、寝たりなどは絶対にしていないと言い、南の国の候サクシに使いをやるよう依頼し、煮えたぎる鍋の中に手を入れ、輝く石を拾い上げて潔白を証明した[1]
オッドルーンの歎き
- アトリが、オッドルーンとグンナルが密会している現場を押さえたが、そのことはグズルーンには伝えなかった。その後アトリがグンナルとヘグニを殺害したため、グズルーンはアトリの子供たちを殺し、次いでアトリを殺し、館を家臣もろとも焼いて、兄弟の仇を討った[1]
グリーンランドのアトリの歌
- グンナル、ヘグニの妹。アトリの館を訪れたグンナルにすぐに去るよう警告するが(管理人注:この場面では単に妹、とだけ表記されており名前は出ていない)、時すでに遅く、グンナルは捕らえられてしまう。ヘグニを殺害しグンナルを蛇牢に入れたアトリが館に帰還すると、彼に、自ら屠った若い獣を食べるようにと料理を差し出した。実はそれはアトリとの間にもうけた幼い息子たちエルプとエイティルの血まみれの心臓であった。その後グズルーンは館に猛火を放ち、兄たちの仇を討った[1]
グリーンランドのアトリの詩
- ギューキとグリーミルドの娘。グンナル、ヘグニの妹。グズルーンら兄妹三人はそろって大胆で、国を離れシグルズに従い(訳注:ヴァイキング行らしい)、東の国の王を討ってその国を手中におさめた。その後シグルズは死に、しぶしぶアトリに輿入れをした。母と姪をアトリに殺害された(訳注:詩人の創作で、他にはこれに当る事件はみられない)。兄弟であるニヴルングの一族がアトリのもとを訪れた際、彼らとアトリとの和睦がかなわないと聞くと、剣を取って戦い、アトリの弟の足を切り落とし、もう一人を切り伏せてヘルへ送った。ヘグニとグンナルはアトリに捕らえられて殺害されたが、グズルーンは心の中を打ち明けず、うわべは快活そうにふるまった。そして兄弟の葬儀における宴の場で、ブズリの末裔、つまりアトリとの間の息子二人を殺害した。そしてその頭蓋骨をアトリの酒杯にし、その中に子供たちの血を混ぜ、さらに心臓を串焼きにして、アトリに完食させた。そしてヘグニの子であるフニヴルングとともにアトリを討った。その後、入水して死のうとしたが沈まず、フィヨルドを超えてヨーナク王の国に流され、王の妻になり、セルリとエルプとハムジルを産んだ。シグルズとの間の娘スヴァンヒルドがヨーナク王のもとで養育されていたが、嫁ぎ先のイェルムンレク王に馬蹄にかけられ踏み殺されたと聞き、次の「グズルーンの扇動」にいわれていることを息子たちに語った[1]
グズルーンの扇動
- ギューキの娘。グンナル、ヘグニの妹。かつて三人の王に嫁いだが、シグルズだけが他の誰よりも優れているように思っていた。シグルズが兄たちに殺されたあとはいやいやアトリに嫁がされ、その後海に身投げしたがおぼれ死ぬことが出来ず、ヨーナクの嫡子を生んだ。子供たちのうち一番愛していたスヴァンヒルドを殺したイェルムンレクへの復讐を遂げさせるため、息子であるハムジルらにフンの王たちの高価な武具を渡し、戦に駆り立てた[1]
ハムジルの歌
ヒュンドラの歌
詩語法
- ギューキ王とグリームヒルドの間の娘。シグルズの妻となり、シグムンドとスヴァンヒルドという二人の子をもうけた[2]
- ブリュンヒルドとどちらが立派な夫をもっているかを言い争った際、シグルズがグンナルの影武者として炎をこえてブリュンヒルドと床を共にしたことをばらした[2]
- ブリュンヒルドがシグルズを殺害した後、ブリュンヒルドの兄王であるアトリに嫁ぎ、子をもうけた。アトリがグンナルとホグニを殺害した後、アトリとの間の二人の息子を殺して頭蓋骨から金と銀で酒器をつくらせ、グンナルとホグニの葬儀の宴においてその酒器に子供達の血を混ぜ、アトリに蜜酒を飲ませた。さらに子供達の心臓をあぶってアトリに食べさせた後、眠ったアトリをホグニの子と共に襲って殺害し、広間に火を放ち、宴会に参加していた人々を殺害した[2]
- アトリを殺害したあと海に身投げするが、海を漂いヨーナクル王の国に漂着し、王の妻に迎えられ、王との間にソルリ、ハムジル、エルプという三人の息子をもうけた[2]
- 娘スヴァンヒルドがヨルムンレク王に殺害されたため、ソルリ、ハムジル、エルプにどんな鉄も通らないほど強い鎧と兜と助言を与えて復讐に向かわせた[2]