武器・武装を表すケニング

武器(vápn)と武装(herklæði)は、戦やオーディンヴァルキューレなどによっていいかえられる[2]

 ―(hǫgg 打撃 [中])[3]

  • eldar blóðs[9] 血の火[2] (eldr[13] 火[1])(blóð 血)[3]
  • eldar benja[9] 傷の火[2]

剣(sverð)を表すケニング

 ―(sverð 剣、長剣 [中] 英語のswordに相当)[3]
 ―(hjǫrr 剣 [男])[3]


斧(öx)を表すケニング

巨人の名に血(blóð)、傷、森、木(viðr)などを付け加えることによっていいかえる[2]

  • trollkona hlífa[9] 楯の女巨人[2] (troll トロル(ノルウェーの民話にあらわれる怪物;ユミルの死体から出たうじ) [中])[3](kona 女 [女] 英語のqueenに相当)[3]
  • 楯をそこなうもの[2]
  • 楯の氷[2]

蛇や魚などによっていいかえる[2]

槍(spjót)を表すケニング

  • 楯の黒龍[2]
  • 鎧の鵞鳥[2]

雹か雪嵐かにわか雨などによっていいかえる[2]

矢を表すケニング

  • 弓づるの雹[2]
  • hagl boga[9] 弓の雹[2]
  • hagl strengjar[9] 弦の雹[2]
  • hagl hlífa[9] 楯の雹[2]
  • hagl orrostu[9] 戦の雹[2] (orrosta 戦い [女])[3]
  • 傷の雹[2]

 ―(skjǫldr 楯 英語のshieldに相当)[3]
テント、軍船、船の太陽、月、葉、輝き、垣などによっていいかえる[2]

ヴァイキングたちが略奪の航海に向かう際、船の側面に楯を並べてとりつけていたことに由来するいいかえ

  • hlýrtungl[9] 舳先の月[2] (tungl 月、星 [中])[3]
  • 舳先の太陽[2]
  • garðr skips[9] 船の垣[2] (garðr 囲い地、中庭、家、城、町 [男])[3]

フルングニルが楯の上にのっていたことに由来するいいかえ[2]

  • fóta Hrungnis[9] フルングニルの足[2] (fótr 足、歩 [男])[3]
  • Ilja blað Hrungnis[9] フルングニルの足裏の葉[2] (il[9] 足の裏[2])

昔は楯の上に輪とよばれる縁を描くのがつねだったことに由来するいいかえ[2]

  • Hildar hjól[9] ヒルドの輪[2]

そのほかのさまざまないいかえ

楯の城を表すケニング

“楯の城”とは、戦いの際、前面に楯を隙間無く並べる防御陣形のこと。
広間、屋根、壁、床などによっていいかえる[2]

帽子、頭巾などによっていいかえる[2]

 ―(brynja 甲冑)[3]
肌着、上衣などによっていいかえる[2]

  • klæði eða váðir Hamðis ok Sörla[9] ハムジルとソルリの服または衣装[2]
  • Hamðis skyrta[9] ハムジルの肌着[2]
  • Sörla föt[9] ソルリの服[2]
     - ハムジルとソルリが異父兄弟であるスヴァンヒルドの復讐に遣わされた際、母であるグズルーンからどんな鉄も通らないほど強い鎧(と兜)を与えられたことに由来[2]
  • 戦士の肌着[2]
  • 海王の肌着[2]
  • 海王の服[2]
  • ヴァルキュリヤの服[2]
  • [2] 谷口幸男(1983)「スノリ『エッダ』「詩語法」訳注」『広島大学文学部紀要』(特輯号第43巻3号)p.1~122,広島大学文学部
  • [3] 下宮忠雄・金子貞雄(2006)『古アイスランド語入門―序説・文法・テキスト・訳注・語彙』大学書林
  • [9] Guðni Jónsson (ed.), Eddukvaeði,Íslendingasagnaútgáfan (1954) (http://www.heimskringla.no/wiki/Skáldskaparmál)2018年3月30日アクセス.
  • [10] 谷口幸男(1983)「スカルド詩人とケニング」『レトリックと文体―東西の修辞法をたずねて』(古田敬一編)p.183~209,丸善

公開日:2018/02/16

最終更新日:2020/01/14

カテゴリー: ケニング