Sigurðr[3][9][13](シグルド[3][32]、シグルズ[1][2][7][8][10][11][18][30]、シグルズル[1]、シグルト[26]) 勝利の守り手[3] [男][3]
― sigr[3] 勝利[3] [男][3]
原典版
概要
- <龍殺しのシグルト[26]>。北欧神話最大の英雄。Volsung族の血をひく。Brynhildrと愛を誓うが、Guðrúnと結婚したため、悲劇が起こる[3]
- オーディンにより眠りの茨で刺されたブリュンヒルドを、愛馬グラニを駆って炎をこえ、求婚する[1]
- 『デンマーク人の事績』にてハディングがマントの老人にくさび型陣形を教わる場面は、『レギンの歌』にてシグルズがフニカルを名乗ったオーディンから同様の陣形を教わる場面と酷似している[11]
- 『デンマーク人の事績』にてフロートが竜を倒しておびただしい宝を手に入れた場面は、シグルズがファーヴニルを討ち宝を手に入れる場面と酷似している[11]
- 英雄シグルドの冒険が、ノルウェーのヒュルレスタ(ヒューレスタド[30])の教会の木の扉に彫ってある[30][32]。また、スウェーデンのラスムンドにある巨大な岩には、シグルドの伝説がすべて彫り込まれている[11][30][32]
- 一般的にニーベルンゲンの歌[26]の「ジークフリート[26][30](独語Siegfried)」と混同されやすいが、言い伝えられる地域や文献、伝承の細部が異なり、厳密な同一人物ではない
- シグルズ・ヘルガソン。フリンガリーキの王[18]
シンフィエトリの死について
- シグムンド王とヒョルディースとの間に生まれた息子の名。シグムンド王がフンディングの息子たちとの戦で倒れたのち、母ヒョルディースがアールヴと再婚したため、少年時代をそこで過ごす。シグムンドと他の息子たち同様、力と身の丈と頭とすべての技能において余人に勝っていたが、シグルズは中でも最も優れ、魔法にたけたすべての人々に、誰よりもすぐれた気高い戦士の王だと呼ばれている[1]
グリーピルの予言
- シグムンドとヒョルディースの子。グリーピルの甥にあたる。グラニに乗ってグリーピルの館を訪れ、以下のような自身の未来を予言してもらった[1]
- フンディングの息子たちを討ち、勝利をおさめ、エイリミの恨みを晴らす[1]
- グニタヘイズでレギンとファーヴニルを殺し、ファーヴニルの隠れ家をみつけ、宝を手に入れ、ギューキのところに向かう[1]
- ギューキのもとを出た後、麗しい王女が鎧をまとったまま山に寝ているのを、ファーヴニル殺しの鋭い剣を振るってその鎧を裂いて目覚めさせ、ルーネと医術を教わる。そのあとヘイミルの屋敷を訪れる[1]
- グリームヒルドから、ゴートの王グンナルの為に、ヘイミルの養女ブリュンヒルドに求婚することを依頼され承諾する。グンナルとシグルズは姿を替え、グンナルの姿になったシグルズが、ブリュンヒルドと婚約をする。グリームヒルドはシグルズをだまし、シグルズにグズルーンを差し出す。シグルズとグンナルの婚礼がギューキの広間で同時に祝われる。グズルーンは幸せな生活を送るが、ブリュンヒルドは不幸な結婚をしたと考え、グンナル、グトホルム、へグニを挑発し、シグルズを殺害させる[1]
レギンの歌
- ヒアールプレクの飼育馬のところで、後にグラニと呼ばれた馬を自分の為に選んだ。その頃レギンもヒアールプレクのところにきており、シグルズはレギンに養育されることとなった。レギンの家でとても可愛がられ、レギンの祖先のことや、様々な出来事を教えられた。そしてグラムという剣を与えられ、ファーヴニルを討つようにとそそのかされたが、父の仇をとることを優先し、ヒアールプレク王に水軍を与えてもらう。途中でフニカルと名乗る男を船に乗せ、戦いにおいての吉兆のアドバイスをうけた。その後フンディングの子リュングヴィ兄弟と激しい戦をして、その背に血の鷲を切り裂いた[1]
ファーヴニルの歌
- シグムンドの子。(リュングヴィ兄弟を打ち破ったあと)ヒアールプレクのところに帰ると、レギンにファーヴニルを殺すようにとけしかけられ、グニタヘイズに出かけた。そこでファーヴニルが水を飲みに這っていく跡を見つけたため、道に大きな穴を掘り、その中に入って、ファーヴニルが穴の上に這い進んだとき、その心臓をグラムで刺し貫いた。レギンに言われてファーヴニルの心臓をあぶっていたが、できたかどうか確かめるために指でつまむと火傷してしまったので、慌てて口の中に指をつっこんだ。するとファーヴニルの心臓の血が舌について、鳥の言葉がわかるようになり、レギンが自分をだまして殺そうとしていることを知ったのでその首を刎ね、ファーヴニルの心臓を食べ、レギンとファーヴニルの血を飲み、ファーヴニルの住処でエーギルの兜、黄金の甲冑、剣フロッティ、その他多くの宝物を手に入れた。そして四十雀から、ギューキのところに彼の妻にふさわしい絶世の美女がいるということを教えられた[1]
シグルドリーヴァの歌
- フランケンに行くためヒンダルフィアルにのぼったところ、山頂で輝く楯の垣に囲まれて眠っている女を見つけ、グラムでその鎧をはぎ取った。女はシグルドリーヴァといい、ヴァルキューレであった。シグルズは彼女に頼み、様々なルーネの知恵や十一にもわたる忠告を授けてもらった[1]
シグルズの歌 断片
- グンナルとの間に誓いをたてておきながらすべて破ったとして、グンナルやヘグニに命を狙われ、ライン河の南で殺害された。ここでは戸外で殺されたことになっているが、言い伝えによって、室内のベッドで寝ているときに殺された、あるいは外の森の中で殺された、またはギューキの息子たちと民会に馬で行き、そこで殺されたとされる場合もある。いずれにしても、裏切られて無防備なところを殺されたという点では一致している[1]
グズルーンの歌Ⅰ
シグルズの短い歌
- 南の国の生まれの、ヴェルスングの若武者。シグムンドの子。フンの王。ギューキのところで二人の兄弟(訳注:グンナルとヘグニ)と友誼を結び、ギューキの娘グズルーンを妻にした。その後ギューキの子らがブリュンヒルドに求婚する旅に道案内として同行し、ブリュンヒルドと一夜を過ごしたが、ルーネの彫られた抜身の剣を二人の間に横たえ、口づけはおろか抱擁もせず、彼女をギューキの子に渡した。その後ブリュンヒルドはシグルズへのあこがれと恨みを募らせた結果グンナルにシグルズ殺害をけしかけ、グンナルにそそのかされたグトホルムに胸を剣で貫かれた。シグルズは絶命前にグラムを投げてグトホルムの体を真っ二つにした。グズルーンとの間には幼い息子がいたが殺害された。またシグルズの死後にグズルーンがスヴァンヒルドを生んだが、ビッキのたくらみにより殺害され、シグルズの一門はことごとく絶えた[1]
ブリュンヒルドの冥府への旅
- ブリュンヒルドの眠る場所に火を超えてグラニで乗り付け、八夜の間、一つのベッドで眠ったが、手を重ねることすらしなかった。ところが後にグズルーンは、ブリュンヒルドがシグルズに抱かれて寝たと非難した。死後、ブリュンヒルドと共に火葬堆が用意された[1]
ニヴルング族の殺戮
グズルーンの歌Ⅱ
- ギューキの娘グズルーンを娶った。シグルズはギューキの子らと比べると特に良く見え、また誰よりも優れていたことから、グズルーンの兄弟たちによく思われなかった。ある日グラニを連れて民会に出かけたが、河むこうの南の国でゴトホルムに襲われ、相討ちとなり死亡した[1]
オッドルーンの歎き
グリーンランドのアトリの詩
グズルーンの扇動
ハムジルの歌
ヒュンドラの歌
詩語法
- シグムンドの子で、ヴォルスングの孫。兄弟にシンフィョトリがいる。養父レギンに育てられた[2]
- 全ての王のうち、素性と力と勇気からして最も有名であるとされる。また、毒が効かない丈夫な硬い皮膚を持つ[2]
- 養父レギンに、その兄弟であるファーヴニルの持つ黄金を取りに行くようけしかけられ、レギンが作ったグラムという鋭い剣を持ってファーヴニルの元へ向かい、討ち果たす。さらにレギンに命じられてファーヴニルの心臓を焼いている際、焼き加減を確認するために心臓に指を触れたためやけどをし、とっさに指をくわえたことでファーヴニルの血を少し舐めてしまう。それにより鳥の言葉がわかるようになった彼は、レギンが自分をはめようとしていることを知ってレギンを殺害し、ファーヴニルの黄金と、アンドヴァリの呪いのかかった腕輪を手に入れた[2]
- グラニという馬を持つ[2]
- 山の上の一軒家で眠っていたブリュンヒルドという名のヴァルキューレの鎧を剣で切り取り、目覚めさせた[2]
- ギューキという王のもとへ長い間滞在し、ギューキの娘グズルーンを妻にし、またギューキの子グンナルとホグニと兄弟の誓いを立てた。グズルーンとの間には、シグムンドとスヴァンヒルドという二人の子をもうけた[2]
- グンナルの妻にブリュンヒルドをもらい受けるため、グンナルとホグニ共に、ブリュンヒルドの兄であるアトリ王の元へ向かう。ブリュンヒルドは館を囲む炎を馬でこえる勇気ある者しか夫にしないと誓いを立てていたが、グンナルの馬は炎をこえる勇気が無かった為、グンナルの影武者として炎をこえた。そしてブリュンヒルドと夫婦となり、彼女へアンドヴァリの呪いのかかった腕輪を与えた。再度グンナルと入れ替わり、ブリュンヒルドを故郷のギューキの所へ連れ帰った。その後グズルーンが影武者の件をブリュンヒルドにばらした事で、ブリュンヒルドにけしかけられたゴットホルムに殺害される。その際、グラムを放ってゴットホルムの胴体を真っ二つにした。その後、三歳になるシグムンドという息子も殺され、自害したブリュンヒルドと共に火葬された[2]
- アースラウグという娘がおり、そこから偉大な一族が発している[2]
デンマーク人の事績
- Fáfnis bani[9][10]、bani Fáfnis[13] ファーブニルの殺し手[1][2][10] (bani 殺害者、死 [男])[3]
- Gothorms bani[13] ゴトホルムの殺し手[1]
- Yngva konr[13] ユングヴィの子[1] (konr 末裔、息子)[1]
- scioldunga niðr[13] スキョルドゥンガルの子[1] (niðr 親族 [男])[3]
- Sigmundar burr[13] シグムンドの子[1] (burr 息子 [男])[3]
- フレイの友[1]
- フンの勇士[1]
シグルドの名に関連するケニング
- ハッディングの野(戦場)の鴉のビールを与えしシグルズ[2] [9]-9.(5)