Heimskringla[3](ヘイムスクリングラ[10][23]) 世界の環[1]
― heimr[3] 国、世界[3] [男][3] (英語homeに相当)[3]
概要
- 『散文エッダ』につづいてスノッリが記した大作。外に例をみない自国語による北欧中世史の傑作であり、あまたある長編サガのうちで最高傑作のひとつ[18]
- 太古(古代[18]、神話時代[1])から1170年(1177年[1][18])までのノルウェーの歴史を扱った、ノルウェー王朝史[1]
- この「ヘイムスクリングラ」というタイトルは写本の冒頭にある語(kringla heimsins[3](世界の周りに[3]、世界の輪[18])が仮タイトルとしてつけられたもの[1]
- <賢者ショーゾールヴ>や<剽窃詩人エイヴィンド>らの古詩、司祭の賢者アリの記録、「スキョルズンガサガ」「諸侯のサガ」「クヌート老王のサガ」「スヴェリルのサガ」「フラザヤルラ・サガ」「ノルウェー諸王のサガ綱要」などから引用されている[18]
- 『デンマーク人の事績』が、神に常に批判的であり、非常な悪意をもつ見方をするサクソによって(嘘とまでは言えないが)ゆがめられた形で記された一方、本書は、自身の国の古代の伝説や神話を大事にし、それらを取り込んで伝えたスノッリによって記されており、神々の扱い方が非常に対照的な内容となっている[23]
- ただし、オーディンを主神とせず、常勝を約束する支配者とみるエウヘメリズムの見解はスノッリとサクソの両者に共通してみられる[18]
序文[18]
- Prologus[22]
(一)オーラヴ聖王に先行する諸王の歴史[18]
ユングリンガサガ[18]、ユングリンガ・サガ[23]
ハルヴダン黒髪王のサガ[18]
ハラルド美髪王のサガ[18]
- Haralds saga hins hárfagra[22] (hinn [代] あの)[3](hár 髪 [男] 英語hairに相当)[3](fagr 美しい [形] 古英fairに相当)[3](hárfagr 美髪の [形] 英語fair-hairedに相当)[3]
ハーコン善王のサガ[18]
灰色マントのハラルド王のサガ[18]
- Sagan af Haraldi konungi gráfeld ok Hákoni jarli[22] (af ~から、~によって [前])[3](konungr 王 [男] 英語kingに相当)[3](ok そして、および [接])[3](jarl [男] 伯)[3]
オーラヴ・トリュッグヴァソンのサガ[18]
- Saga Ólafs Tryggvasonar[22]
(二)オーラヴ聖王のサガ[18]
オーラヴ聖王のサガ[18]
- Saga Ólafs hins helga[22] (hinn [代] あの)[3](helgask 聖められる)[3]
- 透徹した歴史観、芸術的な文体など、「王のサガ」のうち最大の評価を受けるに値するセパレート・サガ。フラート島本(Flateyarsbok)など多くの写本が初期ノルウェーの歴史をこのサガから引用しているなど、歴史書としての重要性も高い[18]
(三)マグヌス・エルリングスソン王にいたる1177年までの諸王の歴史[18]
マグヌース善王のサガ[18]
ハラルド苛烈王のサガ[18]
<無口のオーラヴ王>のサガ[18]
- Saga Ólafs kyrra[22]
<素足のマグヌース王>のサガ[18]
マグヌースソンのサガ[18]
<盲目のマグヌース>とハラルド・ギリのサガ[18]
ハラルドの子のサガ[18]
- Saga Inga Haraldssonar ok brœðra hans[22] (ok そして、および [接])[3](brœðr bróðir(兄弟)の複数形)[3](hann 彼は、彼を [代])[3]
<広肩のハーコン王>のサガ[18]
マグヌース・エルリングスソンのサガ[18]
- 谷口幸男(2008)『ヘイムスクリングラ-北欧王朝史(1)-』プレスポート :『序文』から『灰色マントのハラルド王のサガ』までの日本語完訳を記載
- 谷口幸男(2009)『ヘイムスクリングラ-北欧王朝史(2)-』プレスポート :『オーラヴ・トリュッグヴァソンのサガ』と『オーラヴ聖王のサガ』の前半の日本語完訳を記載
- 谷口幸男(2010)『ヘイムスクリングラ-北欧王朝史(3)-』プレスポート :『オーラヴ聖王のサガ』の後半と『マグヌース善王のサガ』の日本語完訳を記載
- 谷口幸男(2010)『ヘイムスクリングラ-北欧王朝史(4)-』プレスポート :『ハラルド苛烈王のサガ』から『マグヌース・エルリングスソンのサガ』までの日本語完訳を記載
- N. Linder og H. A. Haggson(http://heimskringla.no/wiki/Heimskringla) :ヘイムスクリングラ全文の原文を記載