【単】Áss[1][3][16](アース[2][16][18][23]、アース神[1][2]、エーシル神族の神[3]) [男][3]
【複】Æsir[1][3][13][16][22](エーシル[6][23][25]、エーシル神族[3]、アサ神族[15][26])
Ásynja[3] 女神[3] [女][3]
原典版
概要
- オーディンに率いられる戦いの神。好戦的で、戦死こそが真の栄誉と見なす。一方で、世界を作った創成の神でもある[4]
- ヴァンル神と争い、取り込んだ[4][1]
- アース神族とヴァンル神の和解は、ニョルズとその子フレイとフレイヤがアース神族の中に迎え入れられることにより成り立った[1]
- キリスト教採用後の北欧民間伝承では次第に、正しい神と対立する邪悪な、悪魔的存在とされるようになった[16]
- スノッリ『エッダ』序文では、アースと呼ばれたアシーアー人たちはもともと小アジアはトロイアの出身だと言われており、人間とされる[16]
巫女の予言
- まだ世界が出来上がって間もない頃、イザヴェルに祭壇と神殿と鍛冶場を築き、金と鋏と道具をこしらえた[1]
- 将棋に興じる描写もみられる[1]
- ヴァンル神と、この世で最初のものとなる戦を繰り広げた。その際、アース神族の城壁が破られる[1]
- アース神が巨人との間に交わした誓い、約束、誓約、すべての固い取り決めを破った(ことにより、世界の破滅を自ら招く。)[1]
オーディンの箴言
ヴァフズルーズニルの歌
グリームニルの歌
ファーヴニルの歌
シグルドリーヴァの歌
ヒュンドラの歌
スノリのエッダ 序文
- 世界の東側に位置するアーシアーと呼ばれる場所にエーシルと呼ばれる人間たちが住んでおり、あらゆる恵みと知恵と力と美と、あらゆる種類の能力に恵まれており、人間よりも神々に似ていると考えられていた[6]
- エーシルたちはオーディンによって北方の国々、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、サクスランドに広く進出して各地を支配したため、彼らの言語がこれらの地域の母国語となった(イングランドには進出しなかった為、この地域にはエーシルの言語が母国語として伝わっていないとされる)[6]
ギュルヴィたぶらかし
- 昔のアースガルズとそれに属する国に住む神の一統。オーディンとフリッグからアース神族が由来している[1]
- アース神たちは予言の力を持っており、ギュルヴィ王の来訪を見通し、彼に幻術をかけた[1]
- ユグドラシルを支える三つの根のうちの一つはアース神のところに伸びている[1]
- 神々は毎日ウルザンブルンの法廷に行くために、ビフレストを馬で渡って行く。そのためこの橋はÁsbrú[12](アースの橋)ともいわれる[1]
- オーディンが、アース神の中でも最高の、最年長の神といわれている[1]
- オーディンを除くアース神の中で一番偉く、神々と人間たちのうちで一番強いのがトールといわれている[1]
- アース神のうちで最も賢く、雄弁で優しい神はバルドルであるといわれている[1]
- フレイはアース神の中でもっとも有名な神であり、フレイヤはアース女神の中で最も有名であるといわれている[1]
- チュールは、アース神の中で最も大胆な神と考えられている[1]
- フレイのもつ船スキーズブラズニルは、アース神全部が武器をとり武装して乗れるほど大きいといわれている[1]
- バルドルが殺されたことが、神々および人間にふりかかった最も不幸な出来事といわれている[1]
- ラグナレクのおり、甲冑に身を固めて死せる戦士たちと共にかの野(管理人注:ヴィーグリーズのこと)を目指して進む[1]
- ヴァンル神たちがニョルズをアース神のところに人質として差し出し、その代わりにヘーニルを人質にとったことが、神々とヴァンル神の和解の因になった[1]
- かつてアース神たちの持ち物であった黄金の将棋は、ラグナレクののち、生き残ったヴィーザルらの手に渡る[1]
詩語法
ユングリンガサガ
- アーサランドに住む人々。ヴァンと一進一退の戦争を繰り広げ、その後、和平の人質として、ヴァンからは裕福なニョルズ、その息子フレイ、思慮深い男クヴァシルが送られ、アースからはヘーニルと、ひじょうに賢い男ミーミルが送られた。アースの元にやってきたニョルズとフレイはオーディンによって供犠の司祭に任じられ、アースの人々の司祭になった[18]
- ヴァン国では近親婚は合法であったが、アース国ではそれは禁じられていた[18]
- フレイヤはヴァン国にいたころ人々に魔法を教えていたが、アース国でも同様に人々に魔法を教えた[18]
- オーディンは自身が知るすべての技芸をルーン文字とgaldrar[22](魔法[18])という名の歌で人々に教えたため、アースたちはgaldrasmiðir[22](魔法の歌の鍛冶屋[18])と呼ばれた[18] (galdr 魔法 [男])[3]
- オーディンは古来アースのもとで行われてきた掟を自分の新しい国にも導入した[18]
ソルリの話とヘジンとホグニのサガ
アース神族に関連するケニング
- vársinna ása[9] アースの春の友[2]
- sessa ása[9] アースの食卓仲間[2]
- slægi áss[9] ずるいアース[2] [9]-23.
- bundni áss[9] 縛られたアース[2] [9]-23.
- bróður ásanna[9] アースの兄弟 (bróðir 兄弟 [男] 英語brotherに相当)[3]
- þögla ás[9] 無口のアース[2] (þǫgn 沈黙、静寂 [女])[3]
- hefniás goðanna[9] 神々の復讐のアース[2] (hefna 復讐する)[3](goð 神(異教の) [中])[3]
- öndurás[9] スキーのアース[2]
- bogaás[9] 弓のアース[2]
- veiðiás[9] 狩のアース[2] (veiða 狩る)[3]
- skjaldarás[9] 楯のアース[2] (skjǫldr 楯 英語shieldに相当)[3]
- nauðgjald ásanna[9] アースたちの償い[2]、アースの強制賠償[2] (nauðr 困窮 [女] 英語needに相当)[3](gjalda 支払う)[3] [9]-40.
― 川うその姿をしたオト殺害の賠償として、農夫フレイズマルがオーディン、ロキ、ヘーニルに黄金を請求したことに由来するいいかえ[2] - ása mjöð[[9] アースの蜜酒[2] (mjǫðr 蜜酒(北欧神話の飲み物。ギリシア神話のnectarにあたる) [男])[3]
- drykk ásanna[9] アース神の飲物[2] (drykkja 飲むこと、一気飲み [女])[3]
- アースの長寿の贈物[2]
オーディンを表すケニング
ヘーニルを表すケニング
ロキを表すケニング
テュールを表すケニング
ヘイムダルを表すケニング
ヴィーダルを表すケニング
ヴァーリを表すケニング
ウルを表すケニング
ホドを表すケニング
フリッグを表すケニング
黄金を表すケニング
詩(詩の蜜酒)を表すケニング
リンゴを表すケニング
- ása[9] アースの
- Ásum[22] アースの人々[18]
- Æsirという語は、一世紀末にローマ皇帝ドミティアーヌスをうち破ったゴート人達が「Ansis(半神たち)」と呼ばれたことにまで遡る:ヨルダネス[4]
- ássという言葉は古英語ではōs(神)という形で借用され、人名のオズワルドOswald(神の力)やオズボーンOsborne(神の熊)、地名のオスローOslo(神の牧草地?)などに残っている[3]
- ásmegin[12] 神力[1] トールが腰に装備している力帯をしめると神力が湧くという[1] (megin 力 [中])[3]
- ásmóði[9] アースの怒り[2] (móðr 怒り、勇気 [男])[3] :用例『アースの怒りにかられたトール[2]』
ássと語源的に近い言葉
参考文献
新釈北欧神話版
第一章
主神オーディンに率いられる神々の総称。巨人族から帰化した者も多く含まれる。
もともと、巨人族集落を追われた力の弱い者たちが逃れる受け皿となっていた側面もあり、巨人族に比べると個々人の力は弱い傾向にある。