ムスペル(ムスペルスヘイム)

※当記事には『新釈北欧神話』におけるネタバレが反転して記載されています


Muspell[3](ムスペル[1]) / Múspell[12] [男]?[中]?[3]

※文献によってまれに「ムスペルヘイム[15]」と表記されることもあるが、原文表記は「Muspellsheimr[12]」であるため、「ムスペルヘイム[1]」と表記する方が本来の古ノルド語の発音に近い

原典版

概要

巫女の予言

  • 世界の終末のおり、東から海原を渡ってムスペルの軍勢がやってくる[1]
  • ロキがムスペルの舵をとる[1]

ロキの口論

ギュルヴィたぶらかし

  • いちばん初めに南の方にあった世界の名。明るく、熱く、焔をあげて燃え上り、その地で生まれた者以外は近づけなかった[1]
  • そこではスルトが燃えさかる剣を手に持ち国境警備の任に付いている[1]
  • 奈落の口(ギンヌンガガプのこと)の南側はムスペルスヘイムから飛んでくる火花で暖かい。その熱風がニヴルヘイムからの冷気とぶつかり、ユミルが生まれた[1]
  • ボルの息子たち(オーディンら)がムスペルスヘイムから吹き出した火花を捕らえ、天に置いて天体を定めた[1]
  • 神々が、ムスペルスヘイムから飛んできた火花から太陽を作った[1]
  • 一番大きい船であるナグルファルをもっている[1]
  • ムスペルの子らがきて世界を荒らしまわるとき、フレイは自身の名剣がなくて困ることになるだろうといわれている[1]
  • ラグナレクのおり、ムスペルの子らはスルトを先頭にして馬を駆り、ヴィーグリーズという野にやってきて目も眩むほどの独自の陣形を取る。彼らがビフレストをわたるとき、橋は砕けるという[1]

ムスペルスヘイム(Muspellsheimr)とは、

  • Muspellムスペル / s / heimr

と訳すことが出来、この場合「ムスペル」とはある特定の種族を指し示していると解釈することができる。

ところがギュルヴィたぶらかしの序盤においては、

  • heimr í~の中に suðrálfu南に, er Múspellムスペル heitir呼ばれる
  • 南の方に、ムスペルという世界が[1]

との記述があり、「ムスペル」が地名であるように扱われている。
しかしその直後で、

  • er flugu飛ぶ órから Múspellsheimiムスペルスヘイム.
  • ムスペルスヘイムから飛んでくる[1]

とあり、「ムスペルという種族の国」という扱いになり、スノリの中では混同されているように見受けられる。

一方、巫女の予言においては

  • Muspellz (中略) lýðir ムスペルの人々

ロキの口論においては

  • Muspellz synir ムスペルの子ら

とあり、地名とも解釈できないことはないが、どちらかというと種族名として読んだ方がスムーズに意味が通じるようになっている。

そのため、ムスペルスヘイムは、アールヴヘイム妖精の国)、ヨトゥンヘイム巨人の国)などのように、『ムスペルは種族名で、彼らの住む国がムスペルスヘイムと呼ばれる』、と解釈するのがもっともスムーズである様に思われる。

  • 語義不明[1]
  • mutspelli キリスト教的な概念で、最後の審判と解釈される[1]
  • あるいは火の擬人化とされる[1]
  • Muspellz synir[13] ムスペルの子ら。南の火の国ムスペルに住むデモーンたち。スルトに従って世界の終末に神々と戦う[1]
  • Muspellz lýðir[3] 冥土の軍勢[3] (lyðir 人々)[3]

参考文献


用語を元ネタに用いた作品の一例

  • GOD EATER 2 :『ムスペルヘイム 』『ムスペルヘイム 改 』……バスターブレード系の刀身名
  • GOD EATER 2 RAGE BURST :『ムスペルヘイム』……バスターブレード系の刀身名