Heðinn[1][9][13][16](ヘジン[1][2][7][16]) 獣皮、皮製の服[1]
原典版
概要
- サラセンの水軍王で、ヒャズニングの戦いを引き起こす。サクソの第五書によれば、ヘジン(Hithinus)はノルウェー人の一部を治める王で、その身体は美しくはあったが未だ大人になっていなかった若い頃にヒルドと恋をし、彼女の父ホグニにその仲を一旦許されながらも、讒言を信じた義父によって攻撃をかけられた。が、未成年の者を殺すことを恥としたホグニに命を助けられ、再び七年後Hithinsø(ヘジン島)で相会し、両人ともに倒れたという[16]
登場する文献と役割
ヒョルヴァルズの子ヘルギの歌
- ヒョルヴァルズ王とその四人の妻のうちの一人アールヴヒルドとの間に生まれた息子の名。ヘルギの弟。ある日ユルの祭りの前の晩、森で女巨人に出会い同行を申し出られたが、断ったところ、この償いは宣誓の杯をあげるときにつけてもらうと言い残して女巨人は消えた。その夕方の宣誓の行事で、ヘジンは、兄ヘルギの愛人スヴァーヴァを手に入れることを誓ってしまう。自らの死を予感していたヘルギは、アールヴ王との決闘に倒れた際に、ヘジンに嫁ぐようにとスヴァーヴァを説得し、ヘジンはヘルギの復讐を遂げることを誓った[1]
詩語法
- ヒャッランディの息子[16]。ヘジン・ヒャルダランソン(Heðinn Hjarrandason[9])。王の名。ホグニ王の留守中に国に攻め入り、その娘であるヒルドを捕虜としてとらえた。逃亡先のハーエイにてホグニ王に追いつかれたためヒルドを遣わして和解を提案するが、拒否された。結局ホグニ王との間にヒャズニンガヴィーグという戦を始め、一日中戦うが、夜になるとヒルドが戦死者を魔法で起こすため、王達は翌日もその翌日も戦い続け、その戦いはラグナロクまで続くと言われている[2]
ソルリの話とヘジンとホグニのサガ
- セルクランド王ヒャッランディの一人息子。はやくに力と背丈と才芸で勇ましい男となり、若者のころに掠奪に出かけて水軍王となり、スパーニーアやグレーキアなどの近隣諸国すべてを広く掠奪し、20人の王を支配下においた。 冬の間はセルクランドに滞まっていたが、あるとき森に出かけたところ、ゴンドゥルと名乗る美しい女と出会った。彼女に、自分とならぶ王を知っているかと尋ねたところ、自身と同じく20人の王を従えるホグニというデンマークに住む王のことを教えられた。もとより彼のことを知っていたヘジンは、いずれどちらの王が勝っているかを試さなければならない事を感じていたため、春になるとすぐに遠征の用意をし、300人の家来と共にデンマークに旅立った。ホグニのもとで豪華な宴に招かれ、自分の旅の目的を話したところ、早速様々な競技で互いの技競べをすることとなった。ところがどちらが勝っているか相違を見いだすことが出来ないほどであったため、二人は盟友の誓いを立て、あらゆる物をたがいに半分ずつ分け合うことにした[16]
- ホグニが掠奪に出かける間、その王国を預かることになった。そんなある日に森へ出かけた際、以前セルクランドで会ったゴンドゥルと再会し、彼女が言っていたとおり、ホグニと自分が腕前や度胸、才芸において対等であったと話した。しかしゴンドゥルは立派な家柄の妃の有無においてヘジンはホグニに劣っているとし、もしヘジンが見かけ通りに勇気も度胸も持っているのなら、ヒルドを奪い、ホグニの妃を殺すべきだとした。ヘジンはゴンドゥルに薦められたビールを飲んだことにより邪悪へと引きずりこまれ、忘却にかかってしまい、彼女の助言通りにホグニの妃を捕まえて殺し、ヒルドを連れ去った。そのあと再度ゴンドゥルと会った森に行き、彼女の角杯を飲み干したところ眠気が襲い、次に目覚めた時、全てのことを思い出し、自分の悪行をゆゆしく思い、ヒルドと軍船<ハールヴダンの贈物>を奪い去ってハーという島に向かった。そこでホグニが追いついてきたため、彼に対して、自身の悪意からではなく邪な予言とわるい呪いによってこのような悪事を働いてしまったと説明をしたが、結局和解は受け入れられず、互いに戦い殺し合うことになった。ところが彼らにはオージンに命じられたゴンドゥルによって甚だ大きな魔力と悪意による呪いがつけられていたため、何度切り裂かれても再び立ち上がって戦いあった。あるときハー島にやってきたオーラーヴ王の従臣<光の>イーヴァルに自分たちの戦いを終わらせて欲しいと頼み、ホグニとの戦いで彼を殺したのち、イーヴァルの手により自身を含めた両軍の全てが殺され、実に140と3年の年月の長きにわたる戦いに終止符が打たれた[16]
ケニング
ヘジンの名に関連するケニング
- ヘジンの愛する女[7]