原典版
概要
ユングリンガサガ
- オーヌンド王の息子の名。フィアズルンダランドの王ユングヴァルの息子アールヴと戦争ごっこで遊んでいたところ、自分が彼より力が弱いことが分かり、怒って大声で泣きだした。それを目撃した義兄弟ガウトヴィズによって<盲目のスヴィプダーグ>のところへ連れていかれ、遊びが下手で弱いことは大変な恥だとされて狼の心臓を食べさせられた。それが原因となり、成長するにつれて凶暴な男となり、ねじれ気質の持ち主となった。父の縁組により、アルガウト王の娘ガウトヒルドと結婚した[18]
- オーヌンド王が大雪崩に巻き込まれて死亡したあとはウプサラの王となり、彼の葬儀を行うために<七王の館>sjau konunga sal[22]という七つの高座がしつらえられた立派な館をつくらせ、盛大な宴を開いて各地の王を呼び寄せた。そこでブラガフルを受け取り、四方に半分だけ国土を広げるか、さもなければ死ぬと誓いを立てて角杯を飲み干した。そして旧館に待機させていた軍に命令し<七王の館>に火を放たせ、六人の王とその兵を全員焼き殺し、諸王の持っていた国土をすべて手中におさめた[18] (sjau 7 [数])[3](konungr 王 [男] 英語kingに相当)[3](salr 館、広間 [男])[3]
- (先のウプサラ放火事件を唯一免れた)グランマル王がヒョルヴァルズ王と姻戚で結ばれたと知り、軍隊を徴募してこの父子を攻撃した。ところがその戦闘で、かつて戦によって手に入れた国であるフィアズルンダランド、西ガウトランド、ネーリーキ、アートゥンダランドの軍は潰走し、自身も多くの傷を負い敗走した。このことからインギャルド王とグランマル王との間に大きな敵意がみなぎったものの、最終的には両王およびヒョルヴァルズ王との間に相互の和睦が結ばれた[18]
- 和平の後、グランマル王とヒョルヴァルズ王がシリという島での宴会に参加していたところ、軍を集めてそれを襲撃し、両王を家臣もろとも焼き殺して、彼らの国を支配下におさめた。それをうけて、グランマル王の義父および義兄弟であったホグニ王とその子ヒルディルは、かつてグランマル王の領地であった国を襲撃してはインギャルド王の家臣たちを殺し、両者の間には激しい争いが続いたが、結局インギャルド王は、ホグニ王が死ぬまでその国を手に入れることは出来なかった。インギャルド王はスウェーデンの大部分を支配する王となったが、十二名の王のことごとくを和平締結の名で欺き殺したため、<邪しまインギャルド(Ingjaldr hinn illráði)[22]>と呼ばれた[18] (hinn あの [代])[3](illr わるい [形])[3](illa わるく [副])[3]
- 妻ガウトヒルドとの間に娘アーサと息子<木樵のオーラヴ>という子をもうけた。姉のアーサはスコーネのグズレーズ王に嫁がせ、弟のオーラヴは西ガウトランドのボーヴィのところに送り、養育させた。アーサの気質はインギャルドによく似ていたという[18]
- 娘のアーサと共にレーニンギで開かれた宴会に参加していたが、<幅広イーヴァル>が攻めてきた際、それらと戦う力はないと悟り、家臣全員を正体ないほど酔わせたあと館に火を放ち、その中にいた人全員もろとも焼け死んで果てた。インギャルドの死後は、スウェーデンの全民衆が彼の一族とその友人のすべてを追放しようと一致団結して立ち上がったため、インギャルドの息子のオーラヴは軍を率いてウプサラを後にした[18]
- オーラヴとソルヴェイグの間の息子の名。弟に<白足のハルヴダン>がいる。ヴァルムランドの王[18]