スカルド詩

概要

  • 作者のわかる機会詩であり、即興詩[10]
  • 個人の心情を歌うことは稀で、現在(あるいは定時的)の王侯の武勲や建物、事物などを褒める内容を歌う(主観的叙述)[10]
  • 頭韻詩で、リズムの中に表現が込められる点が後世の脚韻詩と大きく異なる[10]
  • 華麗で技巧的な形式をもつ。韻律を厳格に守るため語順は完全に犠牲になっている(語順はかなり自由に組んでも良い)。短行はかならずトロカイオス(強弱格)で終わる[10]
  • 「詩語法」と「韻律一覧」では、スカルド詩の構造についてそれぞれ異なった説明がなされている。

詩語法における、詩の構造の説明

詩語法では、詩は「mál ことば」と「hættir 韻律」から構成される、と説明されている。

  • mál[3][9] ことば[2][3]、事柄[3]、契約[3] [中][3] 
  • 詩中では特に「skáldskaparmáls[9] 詩語[2]」とも呼ぶ
  • 詩語はさらにいくつかの種類に分けられる

heiti

  • heiti[3] 固有名詞(名称[3]) [中][3]
  • オーディン」や「ミョルニル」のような、個人名や動物名、物などの名前そのもの
  • ただし、hanga-Týr(ハンガテュール。吊るされた神。オーディンの別名)、farma-Týr(ファルマテュール。荷のテュール。オーディンの別名)など、ケニングではあるが固有名詞(別名)としても用いられるようなものがここで例として挙げられており、詩語法で言われる「heiti」と「kenning」での厳密な区別を付けることが難しい詩語も存在する

fornöfn

  • fornöfn[9] 代称[2](代名[2]) (nöfn nafn(名)の複数形)[3]
  • 例は挙げられていないが、「私」「彼」「あなた」などの代名詞を表すと考えられる

kenning

  • kenning[3][9] ケニング[2][3]、詩的代称[3] [女][3]
  • viðkenningar[9] 附随ケニング。あるものを呼ぶとき、その名前そのものと一緒になにか別のもので呼んだり、あるいはそのものの父や祖父などを呼ぶという手法[2](例:〇〇の父、〇〇の所有者、など) (við ~のかたわらに 英語のwithと同等 [前])[3]
  • sannkenningar[9] 真のケニング。人を賢者、執事、雄弁家、諫言者などと呼ぶ言い方[2]。人の本質や資質を表す言い方 (sannr[3] 本当の)

ケニング(代称法)とは、規定語と基語の二つの語によって一つの語を詩的に言いかえる代称である[10]
一度使われたケニングは二度とつかってはならないというきまりがあったため、詩人は規定語と基語をさまざまなバリエーションで変化させ、組み合わせて、さまざまなことばをいいかえていた[10]

ケニング一覧

強調の技法

通常は『船の樹(=男)』、『傷の火(=剣)』のように一つのケニングで一つの語を表すが、規定語をケニングでいいかえることにより、『戦の棒の樹(戦の棒=剣、剣の樹=男)』のように二つのケニングで一つの語を表す技法は、得に”強いる[2]”と呼ばれる。
さらに二重のケニングの規定語をケニングでいいかえることにより、三重、四重のケニングとすることもできる[10]

スカルド詩以外に見られるケニング

  • 古英詩の「べーオーウルフ」……ケニングが散見されるがスカルド詩に比べて数は非常に少なく、また二重三重の用法は見られない[10]
  • 古ドイツ語の「ヒルデブラントの歌」、古サクソン語の「ヘーリアント」……ケニングはほとんどわずかしかない[10]
  • エッギャの石板……700年頃にノルウェーでしるされたルーン文字の碑文。「死体の海=血」という表現がみられる[10]
  • エッダ……スカルド詩ほどではないにせよ、多くのケニング用法が見られる。神話詩にすくなく、英雄詩に多く見られる[10]

ケニングの起源

  • 宗教的または迷信的観念から、普通の語で呼ぶことがタブーとされている概念を別の語によりいいかえることから発展した……ポルテンゲンの説[10]
  • もともと宗教的・祭儀的な秘密言語とケニングには強い関係性があったが、祭儀的観念にとらわれない自由な詩人の手にかかってはじめて詩語としてのケニングが出来上がった……クラウゼの説[10]
  • ルールの厳しい韻律のもとで、比喩表現が短縮されてケニングができあがった……ローセンボアの説[10]
  • 韻律による厳しい縛りがあることによって、かえってバリエーション豊かで簡潔なケニングが生まれた……ヨウンソン、ハインツェルらの説[10]

あえて意味があいまいな言葉を用いる詩の技法。
同意語を共有している様々な名も同じようにあいまいな用い方ができる。

Læti 声

  1. rödd[9] 声、音声[2]
  2. æði[9] 気質[2](ólund[9] 不機嫌[2](ó- 否定接頭辞 英語のun-に相当)[3](lund[9] 気性[2]))

レイジ

  1. reiði[9] 怒り[2] (reiðr 怒れる)[6]
  2. reiði[9] 船や馬の装備[2]

ファールとファル

  1. fár[9] 怒り、憎悪[2]
  2. far[9] 船[2]

リズ

  1. lið[9] 関節[2]
  2. lið[9] 船[2]
  3. lið[9] 民衆[2] (lið 軍勢 [中])[3]
  4. lið[9] 人が他の者に援助をすること[2]
  5. líð[9] ビール[2]

フリズとフリーズ

  1. hlið[9] 垣[2]
  2. hlið[9] 牡牛[2]
  3. hlíð[9] 坂[2]

韻律一覧における、詩の構造の説明

スカルド詩には約百種の詩形が存在するが、その中でも宮廷律(ドロットクベート。dróttkvæðr[12])が最もよく用いられる[10]

一【連(vísu)】は八行からなる[6]
【四分の一詩節(fjórðungr[12])】はそれぞれ二行からなり、各【行(vísuorð[12])】は六音節からできている[6]。 (fjórðungr 4分の1 [男])[3]
【音節(samstöfur[12])】のうち、【強音節】は一詩節に計十二つ、四分の一詩節に計三つある[6]

上図の例では、第二行の最初の音節《hann》に【頭韻(höfuðstafr[12])】とよばれる韻が置かれており、この韻が詩の流れを決める[6]。 (hǫfuð 頭、首 [中] 英語のheadに相当)[3](stafr 頭韻を踏む文字 [男])[3]
最初の行ではこの韻は《Há》と《hei》の二度あらわれており、これを【詩脚(stuðlar[12])】と呼ぶ[6]

頭韻が子音の場合

  • 詩脚も同じ子音でなければならない[6]
  • また、この子音の韻が入った音節の数が、四分の一詩節に対して多かったり少なかったりするのは正しくない[6]

頭韻が母音の場合

  • 詩脚も母音でなければならない。三つの詩脚がそれぞれ別の母音であればより美しい[6]
  • 母音が次のような代名詞や品詞の形で、四分の一詩節に対して多めに現れることは許されるが、正しい規則(rétt setning)ではない[6]
    • ek[3][12] わたし[6] 私は[3] [代][3] 英語のI、ドイツ語のich、ラテン語のegoに相当[3]
    • en[3][12] しかし[3][6]、~よりも[3] [接][3] 英語のbut、thanに相当[3]
    • er[3][12] とき[6]、~する時に[3] [接、代][3] 英語のwhenに相当[3]
    • at[3][12] ところの[6]、~へ(場所)[3]、~の家で[3]、~ということを[3] [前、接][3] 英語のthatに相当[3]
    • í[3][12] の中[6]、~の中に[3] [前][3]
    • á[3][12] で[6]、~に[3]、~へ(場所)[3] [前][3]
    • of[3][12] について[6]、虚辞(特に詩において)[3] [副][3]
      ※虚辞……その言葉自体に意味は無いものの、リズムを取ったり文章のバランスを整えるために付け加える言葉
    • af[3][12] から[3][6]、~によって[3] [前][3]
    • um[3][12] のまわり[3][6]、~に沿って[3] [前、副][3]

setning[12] 規則[6]

rétt setning[12] 正しい規則[6]
  • tala setning[12] 規則の数[6] (tal 数)[3]
    1. 詩中にみられる詩節の数[6]
    2. 各詩節の連のなかの行の数[6]
    3. 各行のなかの音節の数[6]
  • grein setning[12] 規則の特性[6]
    1. málsgrein[12] 言葉の特性[6] (mál ことば、事柄、契約 [中])[3]
      • 文字の配列により区別される[6]
    2. hljóðgrein[12] 音の特性[6] (hljóð 傾聴 [中])[3]
      • 音節が長いか短いか、硬いか軟らかいかで区別される[6]
      • この音の特性を特に『韻(hendingar[12])』と呼ぶ[6]
breytt setning[12] 変化の規則
  • máli[12] 意味の変化[6](言葉の変化)
    1. kenningar[12] 言いかえ(ケニング)[6] ……語彙を増やす働きがある[6]
      • kenningar[12] 単純なケニング[6]
        • (例)戦い⇒槍の響き[6]
      • tvíkent[12] 二重のケニング[6]
        • (例)剣⇒槍の響き(戦い)の火[6]
      • rekit[12] 拡大されたケニング[6]
    2. sannkenningar[12] 本当のケニング[6] ……語を真の実質で支え、言語を美化し、充実させる[6]
      • sannkenning[12] 単純な本当のケニング[6]
        • (例)sterk egg[6] 逞しい刃[6]
        • (例)framir seggir[6] 大胆な男たち[6] (seggir[9] 従者[2]
      • stuðning[12](支え[6])+本当のケニング[6]
        • 本当のケニングにもうひとつ確認の語がつく[6]
        • (例)hörð egg[6]⇒eggin óhörð(刃が強靱[6]
        • (例)hvatir menn[6]fullhvatir mennirnir(男たちが勇気ある[6])(menn maðr(男、人)の複数形)[3]
      • tvíriðit[6] 二重にねじれたケニング[6]
    3. nýgörvingar[12] 比喩(新造語をつくる)[6]
      • はじめに「剣」を「蛇」と言い換えた場合、「剣の鞘」を蛇の性質に合わせて「道」や「抜け殻」などと呼ぶ技法[6]
      • 芸術味と語の洗練を示すはたらきがある[6]
      • 取り上げられた事柄が詩節を通して維持されていれば成功といえるが、はじめに「剣」を「蛇」と言い換えながら、後に「魚」や「枝」などの別の言葉に言い換えられた場合は失敗とみなされる[6]
  • hljóðum[12] 音の変化[6]

leyfi[12] 破格[6]、自由[6]

※韻律の破格……字余りのように、音節の数や長短に対して多少変則的な扱いを認めること
宮廷律に認められている自由(どの程度までなら、音節の数や韻のルールを変えていいのか)は主に以下の通りである。

音節の数
  • 音節の数は、一行に七ないし八音節程度までなら許される[6]
韻のバリエーション
  • 詩の一行または二行を、『álögum[12](拡大[6])』、『detthent[12](落ちる韻[6])』、『dunhent[12](響く韻[6])』、『skjálfhent[12](震える韻[6])』、その他のバリエーションで構成できる[6] (skjálfa 震動する、ふるえる)[3]
完全韻(aðalhending[12]
  • 第一行または第三行で、完全韻を使用できる[6]
  • 下記の例では、rofsとofsの二つの音節にそれぞれ同じ母音(この場合は《o》)があり、どちらも後ろに同じ音(この場合は《fs》)がきている[6]
  • friðrofs, konungr, ofsa.
詩語法(bragarmál[12]
  • 二音節を一音節にしたり、音節の一つから母音を取り去って音節を縮めることができる。この技法は特に『詩語法』と呼ばれる[6]
  • (例) varda ek mik, þar es myrðir[6] ⇒ Varðak mik, þars myrðir[6]
半詩行(vísuhelmingar)における時の交代(skipta tíðum)(または時制の交代)
同韻(samhendingar)または部分韻(liðhendingar)の使用

同じ語の使用
  • 二つの『半詩行(vísuhelmingar)』で同じ語を使うことができる[6]
  • また、一行前か、もっと近くで使われた語を繰り返し使うこともできる[6]
  • しかし、一つの『連(vísum[12])』の中で同じ語を使うのは過ちとされている[6]
ケニングの長さ
  • ケニングは五重のケニングまでは許される[6]
  • 古い作品には五重以上のケニングもみられるが、(スノリがこのエッダを編纂した)現在では用いない[6]
付加語
  • 一つの連に付加語、あるいは奇数行の最後に韻を踏んだ付加語をつけることができる[6]
接続詞
  • 『er(しかし、~よりも)[3]』、『en(~する時に)[3]』、『at(~へ)[3]』のような語を、半詩行に一回以上使用できる[6]
代名詞
  • 最初の半行(helmingi)で名前があげられるか、ケニングで名前が言及された場合は、後の半行では名前をあげずに『hann(彼)』か『hinn(かの者)』か『sá(この者)』か『sjá(その者)』などと呼んでもよい[6]
分語法(atriðisklauf[12]

fyrirboðning[12] 禁止[6]

その他の宮廷律のルール

不完全韻(skothending[12]
  • jörð kann frelsa, fyrðum

jörðとfyrðの二つの音節で異なった母音と語頭子音をもつが、どちらも母音の後に同じ音(この場合は《r》)がきている[6]

frumhending

最初の韻。行の最初に立つ場合は特に【oddhending】、行の真ん中に立つ場合は【hluthending】とよぶ[6]

viðrhending

各行の二番目の韻。必ず最後の音節にある必要がある。また、一つでなければならない[6]

sextánmæltr(一行に二回、計十六回いわれる)

  • 各行に二つの完全な文章が置かれる[6]
  • 行の長さ、音節、頭韻、文字の置き換えは宮廷律と同様[6]
  • 行1 ○○○。 ○○○。
  • 行2 ○○○。 ○○○。
  • 行3 ○○○。 ○○○。
  • 行4 ○○○。 ○○○。
  • 行5 ○○○。 ○○○。
  • 行6 ○○○。 ○○○。
  • 行7 ○○○。 ○○○。
  • 行8 ○○○。 ○○○。

áttmælt(八行詩形)

  • 各行が一文を成す[6]
  • 行1 ○○○ ○○○。
  • 行2 ○○○ ○○○。
  • 行3 ○○○ ○○○。
  • 行4 ○○○ ○○○。
  • 行5 ○○○ ○○○。
  • 行6 ○○○ ○○○。
  • 行7 ○○○ ○○○。
  • 行8 ○○○ ○○○。

fjórðungalok(四分の一どめ)

  • 二行で一文が終わる[6]
  • 行1 ○○○ ○○○
    行2 ○○○ ○○○。
  • 行3 ○○○ ○○○
    行4 ○○○ ○○○。
  • 行5 ○○○ ○○○
    行6 ○○○ ○○○。
  • 行7 ○○○ ○○○
    行8 ○○○ ○○○。

stál(挿入)

  • 意味において同じな行を間に挿入する[6]
  • 行1 ○○○ ○○○。
  • 行2 ●●● ●●●。
  • 行3 ○○○ ○○○。
  • 行4 ●●● ●●●。
  • 行5 
  • 行6 
  • 行7 
  • 行8 

↑ ○と同じ意味で違う言い回しの●の文を間に入れる

hjastælt(隣接)

  • 第一、第二、第三行が同じ意味を持つ[6]
  • 行1 ○○○ ○○○。
  • 行2 ●●● ●●●。
  • 行3 ▼▼▼ ▼▼▼。
  • 行4 
  • 行5 
  • 行6 
  • 行7 
  • 行8 

↑ ○と同じ意味で違う言い回しの●の文と▼の文が続く

langlokum(長い終わり)

  • 一つの文が最初の行ではじまり、最終の行で終わる[6]
  • 行1 ○○○ ○○○、 ← 一つの文が一行目から始まり、
  • 行2 
  • 行3 
  • 行4      ← 間に別の文をはさみ、
  • 行5 
  • 行6 
  • 行7 
  • 行8 ○○○ ○○○。 ← 最後の行で終わる。

tiltekit(扶助)

  • 最初の半行は先行の詩行に導かれ、前行の最後にくる語がそれに続く[6]
  • 行1 þeim er , ○○○
  • 行2 
  • 行3 
  • 行4 
  • 行5 
  • 行6 
  • 行7 
  • 行8 

↑ þeim er≒those who(~する人々)。この語単体では意味が成り立たず、先行の詩行との組み合わせで意味が成立する

drögur(前辞反復)

  • 連の最初の語が前の詩の最後の語と同じ[6]
  • 前の詩の行8 ○○○ ○ setri.
  • 行1 Setr ●● ●●●
  • 行2 
  • 行3 
  • 行4 
  • 行5 
  • 行6 
  • 行7 
  • 行8 

refhvörf(対照)

  • 対照では、対を為す語を二つ選ぶが、以下のルールに従う必要がある
    • できるだけ意味が違う語(対立した意味の語)を選ぶこと[6]
    • 二語とも同じ拍子を持つこと[6]
  • 適した語を見つけるのが難しい場合は、いくつかの語は都合の良いように変えることも出来る[6]
mestu refhvörf(最大の対照)
  • 行の半分だけが対照になっていて、その二つがそれぞれ他の行におかれている[6]
最大の対照のうち最小のもの
  • 各半詩節に対照をなす行があり、各々二つもっている[6]
小さな対照
  • 各行に対照があるもの[6]
  • 一行おきに対照があるもの[7]
  • 各半行にひとつの対照があるもの(最小の対照)[7]
  • 行1 Himinglæva strýkr hávar
  • 行2 hrönn skilja sog, þiljur.
  • 行3 Lögstíga vill lægir
  • 行4 ljótr fagrdrasil brjóta.
  • 行5 sheims náir ljóma,
  • 行6 líðr ár, of gram blíðum,
  • 行7 uðr rekkir kjöl klökkvan
  • 行8 köld, eisa, far geisar.
refhvarfabróður(対照の兄弟)
  • 第二行と第四行に対照のように対立した語がおかれる[7]
  • しかし語はそれぞれ隣接しておらず、間に一音節あるが、同じリズムをもっていない[7]
  • 行1 Firrisk hönd með harra ←不完全韻(異なる母音の後に同じ音)
  • 行2 hlumr, líðr vetr af sumri, ←完全韻(同じ母音の後に同じ音)
  • 行3 en flaust við lög Lista ←不完全韻
  • 行4 löng taka hvílð at göngu. ←完全韻
  • 行5 Öl mæðir lið lýða, ←不完全韻
  • 行6 létt skipask höll, it rétta, ←完全韻
  • 行7 en skál at gjöf góla ←不完全韻
  • 行8 gulls svífr, tóm, in fulla. ←完全韻

dunhenda(反響韻、響く韻)

  • 前行の最後の語が次行の頭に繰り返される[7]
  • 行1 Hreintjörnum gleðr horna,
  • 行2 horn náir lítt at þorna,
  • 行3 mjöðr hegnir böl bragna,
  • 行4 bragningr skipa sagnir.
  • 行5 Folkhömlu gefr framla,
  • 行6 framlyndr viðum gamlar,
  • 行7 hinn er heldr fyr skot skjöldum,
  • 行8 skjöldungr hunangs öldur.

tilsagt(注釈)

  • 各行にケニングの注釈が入れられている
  • 行1 Röst gefr öðlingr jastar,
  •   王は酵母の海[7]
  • 行2 öl virði ek svá, firðum.
  •   ―余はそをビールと評価す―を人々に与える[7]
  • 行3 Þögn fellir brim bragna,
  •   人々の沈黙は角杯の波[7]
  • 行4 bjór forn er þat, horna.
  •   ―そは古きビールなり―により破らる[7]
  • 行5 Máls kann mildingr heilsu,
  • 行6 mjöðr heitir svá, veita.
  • 行7 Strúgs kemr í val veiga,
  • 行8 vín kalla ek þat, galli.

orðskviðuháttr(諺律)

  • 一行ごとにことわざが挿入される
  • 行1 Fúss brýtr fylkir eisu
  •   王は喜び、沼の火(黄金)を毀つ[7]
  • 行2 fens.Bregðr hönd á venju.
  •   ―手は習いのごと動く[7]
  • 行3 Ránhegnir gefr Rínar
  •   略奪を罰する者はラインの琥珀(黄金)を与う[7]
  • 行4 röf. Spyrr ætt at jöfrum.
  •   ―王侯の血筋は争えぬもの[7]
  • 行5 Mjök trúir ræsir rekka
  • 行6 raun. Sér gjöf til launa.
  • 行7 Ráð á lofðungr lýða
  • 行8 lengr. Vex hverr af gengi.

álagsháttr(拡張律)

  • 次行の最初の語で文が完結する韻律[7]
  • 以下では第二行と第四行が一音節の完全な語ではじまり、これが前行の意味を完結する[7]
  • 行1 Ískalda skar ek öldu
    行2 eik
    , var súð in bleika
    行3 reynd
    , til ræsis fundar
    行4 ríks
    . Emk kuðr at slíku.
  • 行5 Brjótr þá hersis heiti
    行6 hátt
    , dugir sæmð at vátta,
  • 行7 auðs af jarla prýði
    行8 ítrs
    . Vara siglt til lítils.

tvískelft(二重の震え韻律)

  • 震え韻律(震える韻)=一音節だけでわけられた頭韻[7]
  • 以下では、第一行と第三行で韻律の変化がある[7]
    • 行1 Vandbaugs veitti sendir
    • 行2 vígrakkr, en gjöf þakkak
    • 行3 skjaldbraks skylja mildum,
    • 行4 skipreiðu mér, heiða.
    • 行5 Fann næst fylkir unna
    • 行6 föl dýr at gjöf stýri
    • 行7 stálhreins. Styrjar deilis
    • 行8 stórlæti sá ek mæta.

    detthendr háttr(落ち韻律、落ちる韻)

    • 以下では、第二行と第四行で韻律が変わっており、第四行が韻律形にとって重要となる[7]
    • 行1 Tvær man ek hilmi hýrum
    • 行2 heims vistir ótvistar.
    • 行3 Hlaut ek á samt at sitja
    • 行4 seimgildi fémildum.
    • 行5 Fúss gaf fylkir hnossir
    • 行6 fleinstýri margdýrar.
    • 行7 Hollr var hersa stilli
    • 行8 hoddspennir fjölmennum.

    draugsháttr(幽霊韻律)

    ※後述のflagðahátturも[7]で幽霊韻律と訳されるが、原文の名前が異なるため別の韻律形と考えられる

    • 以下では第二行と第四行で韻律が変わっており、第三音節が韻律形にとって重要となっている[7]
    • 行1 Þoll bið ek hilmis hylli
    • 行2 halda grænna skjalda
    • 行3 Askr beið af því þroska
    • 行4 þilju Hrungnis ilja.
    • 行5 Vígfoldar njót valdi
    • 行6 vandar margra landa,
    • 行7 nýtr vartu oss, til ítrar
    • 行8 elli, dolga fellir.

    bragarbót(詩の改善)

    • 以下では第一行と第三行で韻律が変わっている[7]
    • ここで韻脚(注:句末の韻)はできるだけ前に立つが、韻は一音節がその間にくるように離される[7]
    • 行1 Stáls dynblakka stökkvi
    • 行2 stinngeðs samir minnask,
    • 行3 alms bifsæki aukum
    • 行4 Yggs feng, á lof þengils.
    • 行5 Odds bláferla jarli
    • 行6 örbrjót né skal þrjóta,
    • 行7 Hárs saltunnu hrannir
    • 行8 hrærum, óð at stæra.

    riðhendur(揺れ韻)

    • 以下では第二行と第四行で韻律が変わっている[7]
    • 二つの音節が終わりに近く、いっしょにおかれるが、二つとも同じ母音を終わりにもつ[7]
    • 行1 Él þreifsk skarpt of Skúla
    • 行2 skýs snarvinda lindar,
    • 行3 egg varð hvöss í höggum
    • 行4 hræs dynbrunnum runnin.
    • 行5 Seimþreytir bjó sveita
    • 行6 snjallr ilstafna hrafni,
    • 行7 Páll varð und fit falla
    • 行8 fram þrábarni arnar.

    veggjat(楔韻)

    • 以下では第二行と第四行で韻律が変わっている[7]
    • 一音節が最後の二語の前におかれ、そのため語の長さがふえる[7]
    • 行1 Lífs varð rán at raunum,
    • 行2 reið sverð, skapat mjök ferðum.
    • 行3 Stöng óð þrátt á þingi
    • 行4 þjóðsterk, liðu fram merki.
    • 行5 Hrauð, of hilmis bróður,
    • 行6 hvöss egg friðar ván seggjum,
    • 行7 spjót náðu blá bíta.
    • 行8 Búandmenn hlutu þar renna.

    flagðaháttur(幽霊韻律)

    ※前述のdraugsháttrも[7]で幽霊韻律と訳されるが、原文の名前が異なるため別の韻律形と考えられる

    • 以下では第二行と第四行で韻律が変わっている[7]
    • 一音節が加わることで語は長くなり、その音節の後に三つの音節がきている[7]
    • 行1 Flaust bjó folka treystir
    • 行2 fagrskjölduðustum öldum.
    • 行3 Leið skar bragnings bróðir
    • 行4 bjartveggjuðustu reggi.
    • 行5 Hest rak hilmir rasta
    • 行6 harðsveipaðastan reipum.
    • 行7 Sjár hlaut við þröm þjóta
    • 行8 þungfuðustu lungi.