Freyr[9][12][13][16][22](フレイ[1][2][10][16][18][23][25][26]、フレイル[10])
原典版
概要
- 豊穣の神。太陽神[1]
- ニョルズの子[18]
- ニョルズが実姉妹との間にこしらえた息子で、豊穣と平和、愛情の神。ブレーメンのアダムも、ウプサーラの神殿にあった大きな男根をもつ平和と生殖の神Friccoとして伝えている[16]
- スウェーデンのユングリンガル王朝はフレイ神に遡るとされる[1]
グリームニルの歌
スキールニルの旅
- スキールニルという召使いがいる。幼い頃はいつも一緒におり、互いに包み隠しするような仲ではなかった[1]
- フリズスキャールヴから全世界を見回していたとき、ヨーツンヘイムにいる美しい娘ゲルズに一目惚れする。そのことをスキールニルに相談し、彼女に求婚するため、スキールニルに、炎をこえられる馬と、一人で巨人族と戦える剣を与えた[1]
ロキの口論
- エーギルが開催した酒宴に参加する[1]
- ビュグヴィルとベイラという従者がいる[1]
- 誰からも慕われており、アース神のプリンスと目されている。また、アース神の国でも一番の英雄と称される[1]
- ニョルズが妹との間にもうけた息子であることをロキに暴露された[1]
- ギュミルの娘を黄金で買った、とロキに揶揄された[1]
- また、ギュミルの娘を手に入れるために剣を失ってしまったため、ムスペルの子らがやってきたときの戦う手段を失った[1]
ヒュンドラの歌
ギュルヴィたぶらかし
- ニョルズの息子。フレイヤの兄弟。アース神の中で最も有名で、眉目麗しく、力が強い。雨と太陽の光を支配し、大地の生長や人間の福祉を司る。豊穣と平和を祈願される[1]
- スキールニルを従者にもつ[1]
- イーヴァルディの子の何人かの小人たちから、最も立派な船であるスキーズブラズニルを贈られた[1]
- ある日フリズスキャールヴから全世界を打ち眺めた時に、ゲルズという美しい娘を見染め、下男のスキールニルに自分の代わりに求婚してきてもらうように依頼する。その結果ゲルズはバレイというところでフレイと華燭の典(管理人注:結婚式)を挙げる約束をするが、フレイは依頼の代償としてスキールニルに自身の名剣を与えてしまう。フレイはその後ベリと戦う際、武器がなかったため牡鹿の角でベリを打ち倒した。だがムスペルの子らと対峙するときは、剣がなくて困ることになるだろうといわれている[1]
- バルドルの火葬に参加するため、グリンブルスティンまたはスリーズルグタンニという野猪にひかせた車にのってやってきた[1]
- ラグナレクではスルトと激しい死闘をくりひろげるが、スキールニルに名剣をやってしまったことが命取りになり、倒される[1]
詩語法
- 裁き手となる十二名のアースに数えられる。エーギルをもてなす酒宴の席に参加する[2]
- また、その後にエーギルが開催した酒宴の席にも参加する[2]
- イーヴァルディの息子達とシンドリ・ブロッグ兄弟が作った宝のどちらが優れているかを判定する場面で判決者として登場し、船スキーズブラズニルと猪グリンブルスティを贈られる[2]
ー 管理人注:[2]ではイーヴァルディの子らとシンドリ・ブロッグ兄弟の宝の裁きの場に登場するのはオーディン・トール・一部でフレイヤと記載があるが、原文ではFreyr[9]であり、文脈的にもフレイが正しい
ヘイムスクリングラ 原著者序文
- フィヨルニル、セーミングの父。スウェーデン人達により長い間生け贄を捧げられていた。その名はユングリンガ家の名称の元となった[18]
- フレイが死ぬまでの時代は「火葬の時代」と呼ばれ、死者はすべて荼毘に付されていたが、フレイがウプサラで陵墓に葬られてからは、多くの首長は陵墓をつくるようになった[18]
ユングリンガサガ
- ニョルズとその妹との間に生まれた息子。フレイヤの兄弟。ニョルズと共に、アースとヴァンの和平の人質としてアースのもとへ送られた。そしてニョルズと共に供犠の司祭に任じられ、アースの人々の司祭になった。その後オーディンや他のすべての司祭、民衆と共にアースガルズを離れ、シグトゥーナでウプサラという土地を与えられ、そこに住みついた[18]
- ニョルズが死んだあとはフレイがスヴィーショーズを治め、人々からdróttinn yfir Svíum[22](スウェーデン王[18])と呼ばれた。フレイはウプサラに大きな神殿を建てて都を移し、財産をすべて注ぎ込んだ。フレイの時代にFróða friðr[22](フロージの平和[18])が始まり、全土が豊作になったので、人々はそれがフレイのお蔭だと考え、フレイは他の神々よりもずっと敬愛されることとなった。のちに病死した際、フレイの周囲の少数の人々はその遺体を塚の中に運び入れて安置し、スウェーデンの人々にはフレイはまだ生きていると触れ回り、税をすべて塚の中に注ぎ入れたため、豊作と平和が続いた。全てのスウェーデン人がフレイの死を知ってからも豊年と平和が続いたので、フレイがスウェーデンにいる限りそれが続くだろうと信じた人々は、フレイの遺体を火葬にせず、veraldar goð[22](世界の神[18])と呼んで、その後もフレイに供犠をおこたらなかった[18] (dróttinn 主人、領主 [男])[3](yfir ~の上に [前] 英語overに相当)[3](friðr 平和)[6](goð 神(異教の) [中])[3]
- ゲルズとの間にフィヨルニルという息子をもうけた[18]
- 別名をユングヴィといい、その名はその後長く一門の間で名誉ある名前とされた。その後一門はユングリンガルと呼ばれた[18]
ソルリの話とヘジンとホグニのサガ
- son Njarðar[9]、sonr Niarðar[13] ニョルズの子[1][2] (sonr 息子)[3] [9]-14.
- bróður Freyju[9] フレイヤの兄[2] (bróður bróðir(兄弟)の属・与・対格)[3] [9]-14.
- Vanr[9] ヴァン[2] (Vanr ヴァンル神)[1] [9]-14.
- Vanaguð[9] ヴァン神[2] (guð 神(キリスト教の) [男])[3] [9]-14.
- Vananið[9] ヴァンの一族[2] (niðr 親族 [男])[3] [9]-14.
- árguð[9] 豊穣の神[2] [9]-14.
- fégjafa[9] 財産贈与者[2] (fé 家畜 [中])[3](gjafar gjǫf(贈り物)の属格形、複数形)[3] [9]-14.
- Belja dólgr[9] ベリの敵[2] (dólgr[9] 仇[2]) [9]-14.(60)
- bani Belja bjartr[12] ベリの輝く殺し手[1] (bjartr 輝く [形])[3]
- bani Belja[3] ベリの殺し手[2] (bani 殺害者、死 [男])[3] [9]-14.(61)
- fólcvaldi goða[1] 神々の主将[1] (fólcvaldi 軍の司令官)[1](fólk 戦士の列、軍団 [中] 英語folkに相当)[3]
―このケニングから、かつてフレイは主神の位置にいたのではないかと考えられる:M・オルセンの解釈[1]
フレイの名に関連するケニング
参考文献
新釈北欧神話版
第一章
ニヨルドの息子で、フレイヤの双子の兄。
受難体質であるフレイヤを守るため、宝剣を手に戦う勇敢な少年。