テュール(チュール)

※当記事には『新釈北欧神話』におけるネタバレが反転して記載されています


Týr[3][9][12][13](テュール[23]、チュール[1][2][6][7][10]) 神[3]

原典版

概要

  • 軍神の名。ルーネ文字 ᛏの名でもある。碑文にはよくまたはと重ねて彫られている[1]
  • 神々がフェンリルを縛り付ける際に狼の口の中に代償として片腕を差し込んでいた為、片腕を失った[1]

ヒュミルの歌

  • ヒュミルの子。祖母は九百の頭を持つ怪物で、チュールのことを嫌っていた。神々が酒宴をする鍋を手に入れるため、トールと共にヒュミルの館を訪れた。その際ヒュミルの醸造鍋を二度動かそうとしたが、二度ともびくともしなかった[1]

ロキの口論

シグルドリーヴァの歌

  • 剣の柄か血溝の上、あるいは剣の峰に勝利のルーネを彫り、二度チュールの名を唱えると、勝利が得られるという[1]

ギュルヴィたぶらかし

  • アース神の中で最も大胆な神と考えられており、戦において勝敗を決めることもしばしばあるため、戦士に祈願される。他の人より強くて何者をも恐れない者を、チュールのように強いと表現することがある。またチュールは非常に賢いため、賢い人のことをチュールのように賢い、と表現することがある[1]

詩語法

  • 裁き手となる十二名のアースに数えられる。エーギルをもてなす酒宴の席に参加する。また、その後にエーギルが開催した酒宴の席にも参加する[2]
  • 神々の中で唯一フェンリルに餌をやる勇気を持っていた。神々がフェンリルグレイプニルという足枷で縛るとき、取引としてその口の中に右手をいれていたため、俗に狼の関節(úlfliðr[12]。手首関節)と呼ばれているところを噛み切られた。そのためチュールは片手しかないし、人々の調停者とは呼ばれない[1] (úlfr 狼 英語のwolfに相当 [男])[3] (liðr[9]、lið[9] 関節[2]
  • ラグナレクではガルムと戦い相討ちになる[1]
  • víga guð[9] 戦いの神[2] (guð 神(キリスト教の) [中])[3] [9]-16.
  • son Óðins[9] オーディンの子[2] (sonr 息子)[3] [9]-16.
  • úlfs fóstra[9] 狼の養父[2] (úlfr 狼 [男] 英語のwolfに相当)[3] [9]-16.
  • einhenda ás[9] 片手のアース[2] (ein 1、一人で [数])[3] [9]-16.

テュールの名に関連するケニング

    男(戦士)を表すケニング
    • fleina Týr[10] 槍のテュール[10]
    • 富のチュール[7]
    • 戦のチュール[7]
    手を表すケニング
    • úlfliðr[9] 手関節[2] (úlfr[3][9] 狼[3] 英語のwolfに相当[3] [男][3])(liðr[9] 関節[2]
       ― チュールがフェンリルに手首から先を食いちぎられたことに由来する言い方[1]

テュール(Týr)は「神そのもの」を表す語であるため[3]、別の神を示す言葉としても用いられる。

オーディンの別名

  • sig-Týr[9] 勝利のチュール[2] (sigr 勝利 [男])[3] hanga-Týr[9](ハンガチュール) 吊されたチュール[2]、吊されし神[2]
  • Farmatýr[1][13]、farma-Týr[9](ファルマチュール[1]) 船荷の神[1]、船荷神チュール[2]、荷のチュール[2]
  • Fimbultyr[1](フィムブルチュール[1]) 偉大で崇高な神[1] [男][3] (fimbul 恐ろしい)[3]
  • Hroptatýr[13](フロプタチュール[2]、フロプタチュール[1]) (Hróptr 魔術を行う者 [男])[3]
  • reiðar-Týr[9] 車のチュール[2] (reiði[9] 船や馬の装備[2]
  • Hertýr[9] 軍勢のチュール[2]
  • ガウトのチュール[2]

参考文献


新釈北欧神話版

第一章

オーディンの第二子。
岩の巨人族アース神族リンドとの間の子。
腹違いの兄ホドに強い憧れを抱いており、いつか追いつくことを夢見ている。

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用語を元ネタに用いた作品の一例

  • Persona :『ティール』……JUSTICEのアルカナのペルソナ